委託選果量、倍以上に増加

品質を保証する光センサーの利用が価格面で優位性を発揮したことで、JAのタンカン取扱量では選果委託の増加が目立った

JAタンカン実績
光センサー利用で 地元市場区別化、価格に優位性

 JAあまみ大島事業本部は、2019年度産「奄美たんかん」の販売実績をまとめた。取扱実績のうち共販量77・5㌧、委託量(選果委託)76・6㌧となり、いずれも部会員出荷申し込み計画量(共販97㌧、委託86㌧)を下回ったが、前年度(18年度)実績は上回り、なかでも委託は倍以上に増加。光センサーによる選別の優位性が地元市場でも価格に反映されたことで利用が高まったとみられている。

 例年、実績集計後に販売反省会が開かれているが、新型コロナウイルスの集団感染の危険性もあるから、今月3日の生産部会連絡協議会果樹専門部会の役員会で今年度は開催の見送りを決定。出荷部会員78人に文書を送付し、販売実績と販売反省および次年度の取組み等を報告している。

 実績報告によると、販売では計画量を基に秀品・優品は宅配を主体に、業者などとは相対価格の設定を行い有利販売に取り組んだ結果、農家手取りが向上。キロ当たり価格は552円となり、前年度(530円)を上回った。しかし、取扱量は収穫前半のイノシシによる下枝果実の食害多発に加え、後半にはヒヨドリによる食害が甚大となり、当初の計画量を下回った。

 数量のうち共販は前年度実績(67㌧)に比べ10㌧の増だが、委託は前年度の約35㌧から40㌧以上と大幅に増加した。委託の増についてJAは「大規模生産農家である大口の委託利用のほか、新規農家でも選果委託がみられた。選果場に整備されている光センサーを活用する委託の利用は今後も増えるだろう」と説明する。

 選果委託されたタンカンは、地元市場・名瀬中央青果㈱にも出荷された。同青果の競り場内には19年度、奄美大島選果場の利用を示す「光センサー選別コーナー」が設けられた。値段をつける買受人に「(品質保証の光センサーを)通したものと通していないもの」が明確に伝わり、区別化が図られたことで価格差を生んだ。高値で比較すると5㌔箱、キロ単価いずれも光センサーの方が上回った。

 今後の販売対策では、「商品管理の徹底」も挙げている。価格に関しては安定していて良かったものの、販売出荷で19年度産も腐敗などが例年よりも多かったという。JAでは家庭選別の徹底をあらためて呼び掛けていく。