名瀬保健所管内で感染拡大

県平均の5倍 受診しないなど「警戒心薄れ」
新型コロナ

 新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザと同じ5類に移行して、今月8日で1年を迎えるが、名瀬保健所管内では感染が拡大している。県が週ごとにまとめている週報(県内感染症情報)の最新では1医療機関あたり平均患者を示す定点あたり報告数が県内最多で、県平均の5倍に上昇。管内の医療機関では受診者が増えており、「警戒心の薄れ」の指摘もある。

 県内感染症情報週報を基に名瀬保健所管内(奄美大島・徳之島)の推移をみると、4月1~7日の週は3・75人で、8~14日の週には10・50人と増加に転じ、15~21日の週18・25人と増加が続いている。大型連休明けに発表される22日以降の感染者数もさらに増える見通し。

 こうした状況を受けて名瀬保健所では管内の市町村に文書で、関係機関等への基本的な感染防止対策の徹底などを要請。自治体の中には防災行政無線による集落放送で、「手洗いなどの手指衛生、定期的な換気、適切なマスク着脱など基本的な感染対策」「発熱、せきなどの症状がある時は、外出や移動を控える」などを呼び掛ける取り組みがあった。

 奄美市名瀬のむかいクリニック・向井奉文院長は「新型コロナ関係の受診者数は1日あたり2~3人だったが、4月22日以降一気に増えるようになり、10人超と2桁が続いている」と語る。増加要因については「5類に引き下げられたことで警戒心が希薄になっているのではないか。症状がそれほど重くないこともあり発熱があっても受診しない、あるいは検査を受けず薬だけという来院者もいる。2~3週間は増加傾向が続くのでは」と指摘する。

 同クリニックでは5日(こどもの日)は休診したが、患者数の増加から大型連休も午前中は受診を受け付けた。

 龍郷町にあるみんなの診療所(原純所長)では2日は休診したものの、大型連休中の4月27日~5月6日受診に対応(土・日曜と同じ午前9時~午後5時)。原所長は「高齢者など重症化リスクがある人などを除いて検査を行っていないが、新型コロナの症状とみられる人は増えているようだ。他の医療機関の情報として入院者も増えていると聞いている」と話し、「2類相当時に比べ検査したい、受診したいという人自体が減り、その結果が周囲に広がる感染拡大につながっているのではないか」と推測している。