消防ポンプ車も救急出動

救急車だけでなく消防ポンプ車も同時に出動するPA連携が始まった大島地区消防組合消防本部名瀬消防署

名瀬消防署 救命率向上へPA連携開始

 奄美市の大島地区消防組合消防本部名瀬消防署(圓博志署長)は4月1日から、救急活動で消防隊が救急隊を支援する「PA連携」を開始した。緊急性の高い救急出動要請に対し、救急車だけでなく消防ポンプ車も同時に出動。連携して迅速に救護や処置にあたることで、傷病者の救命率を高めていく。

 PAは、消防ポンプ車(Pumper)と救急車(Ambulance)の頭文字。▽心肺停止が疑われる▽交通量が多く救急活動に危険が伴う▽救急隊だけでは傷病者の搬送が困難▽支援が必要と判断した場合―などのケースで共に出動する。

 これまでの救急事案では、救急隊(1隊3人)に、消防か救助隊のいずれか1人が同乗していたが、新たに事案が発生し重なった場合、隊(1台3人)の再編成が必要となり非効率だった。

 PA連携では、救急隊と消防隊それぞれが別の車に乗ることで、後発事案が発生しても、消防隊がそのまま次の現場に急行できるようになる。一旦署に戻らず直行できることで、スムーズな救護活動や人命救助につながることが期待できる。

 4月23日現在、PA連携の事案は15件。100㌔を超える傷病者を高層から搬送した事案では、6人が作業にあたることで救急隊が何度も高所を往復することなく、素早い病院搬送につなげた。

 事案に対応した同署・鶴岡慎太郎救急隊員は「より役割が明確になり、メリットを感じた。今後も情報共有など連携訓練を重ねながらよりよい活動につなげたい」と抱負。圓署長は「今後は『救急車を呼んだのに消防車が来た』というケースも増えてくる。一人でも多くの命を救うことが目的。驚かずにご理解いただきたい」と呼び掛けた。

 同署の隊編成は現在、救急1隊、救助1隊、消防2隊。今後は、実践を通して検証・改善を重ねながら、よりよいシステム構築を目指す。