田検小5年生 オンライン授業、新たな試み

教室と自宅を結び双方向でやり取りする田検小のオンライン授業


パソコンから離れた場所でもスマホなどを利用し中継もできる

教室と自宅結び元気に挙手
タブレットなどを環境整い実現

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で小中学校の休校が続く中、宇検村の田検小学校(前田和洋校長)では新たな試みとして、教室と自宅を遠隔で結ぶ「オンライン授業」を行っている。対象は同校の5年生で、全員がタブレット端末を持つっているなど環境が整っていたことで実現。コロナ禍で学校や教育委員会が遠隔授業の導入を模索する中、児童たちは元気に手を挙げて教師の問いに答えている。

 「半熟に普通、固めのゆで卵、どれが好き」。5月1日午前、5年生の自宅と学校を結んだ家庭科の授業。教室にいる教師のパソコンには児童7人の顔が映し出され、児童は自宅でタブレットなどを使って授業を受けている。

 この日は「ゆで方の違いを考えよう」と題して、1時限目を開始。教室ではホワイトボードを使って授業の意図や原理を説明し、家庭科室ではスマートフォンで調理の実習を中継。割られたゆで卵を見た児童たちは、「とろっとろ」「もう少し固めがいい」など、画面から声を上げた。

 授業は休校中の4月22日から始めた。今年霧島市から新たに赴任した同担任の丸山沙緒里教諭が、「授業ができる環境にある」と学校側を説得。学校側も「こんな機会だから取り組んでみよう」と始まった。

 授業は休校期間中の平日に2時限。教科は児童たちの意見を踏まえて選択し、英語や国語だけでなく、スマホを使うことで移動を伴う体育でも教えられる。

 授業を受けた児童たちは「友達みんなと会えてうれしい」「教室にいるみたいに話せる」など喜んだ。丸山教諭は「(画面には児童の弟妹が横で見ていたりと)家庭の様子も垣間見える。児童の新たな良さを見つけるきっかけにもなっている」と遠隔授業ならではの効果も話した。

 遠隔授業は、足りない学習を補うだけが目的ではない。今後の欠席時の授業、生徒の安否確認、不登校児が出た場合の教育の在り方、災害時の学習なども視野に入れて模索する。野元剛二教頭は「現状、(遠隔用に)教材を作ったりと大変だが、教師の発想、能力が問われる場にもなった」と思わぬ副産物に笑顔を見せる。

 前田校長は「子どもたちは取っ付きが早く、教師の方が(機器の)扱いに戸惑うことが多い」と苦笑いも、「模索は続くが、システム構築できれば今後の様々な場面で役立てることができる。積極的に活用したい」と話した。

 なお、授業の様子は同村教委らも視察済み。各校から見学の問い合わせも多いという。