Emore秋名 クラウドファンディング開始

新施設の「荒波龍美館~荒波のやどり~」の前でクラウドファンディングへの協力を呼び掛けた村上裕希代表

「私たちに力を貸して!」
コロナ禍打開策で協力呼び掛け

 龍郷町秋名・幾里地区を拠点に民泊事業などを展開してきた一般社団法人Emore秋名=いもーれあきな=(村上裕希代表理事、メンバー13人)は、新型コロナウイルスの禍打開策として1日から「クラウドファンディング」(不特定多数の人々からインターネット経由で資金調達呼び掛け)の募集を開始した。ホームページ(HP)では「飲食事業のテイクアウトや物販などの新規事業立ち上げのために目標100万円の資金調達を目指す。大好きなシマの暮らしをつなげたい!過疎地のラストチャンス、私たちに力を貸してください!」と協力を呼び掛けている。

 同法人は、2018年11月に設立。同法人メンバーには、「まずは秋名・幾里集落の活性化を図り、ひいては荒波地区(秋名、幾里、嘉渡、円、安木屋場集落)に人の流れをつくり、活性化につなげたい」との思いがあり、町側はさまざまな支援をしてきた。

 19年1月に民泊施設「GAMA屋(がまや)」、同年6月に「どぅぬ家」を開設し、運営してきた。今年3月には宿泊・飲食・体験メニューの拠点となる複合施設「龍郷町立荒波龍美館~荒波のやどり」(幾里地区)が完成し、同法人が指定管理者に指定された。新施設は、6月オープンを目指して準備を進めてきた。

 しかし、新型コロナウイルス感染拡大によって、島外の宿泊客の予約受付をストップせざるを得なくなり、さらに今後どうなるか見通せない状況が続いていることから「クラウドファンディング」の取り組みを決定したという。

 村上代表(37)によると、3月は「GAMA屋」「どぅぬ家」を合わせて稼働率は約4割だったが、「4月には早々と宿泊予約を諦めた」。4月11日に2民泊施設の休館を決めた。

 同法人は月1回ペースで定例会を開いてきた。4月22日にメンバーに臨時に集まってもらい、今後の対応を協議した結果、「事業の一つとしてクラウドファンディングの取り組みを決定、5月1日から資金調達募集を開始した」。

 HPでは「地域住民有志が、過疎が進む地域を将来につなげようと同法人を設立。民泊などの体験型観光で奄美の暮らしぶりを発信し、宿泊客がゼロだった集落で年間延べ宿泊者数が800人を超えるまでになった。しかし、コロナ禍で民泊は休業、4月売り上げはゼロに。新施設のオープン時期も不透明で、事業継続の危機に直面している」として協力を呼び掛けている。

 クラウドファンディングのリターン(お礼のお返し)は、オープン後に利用できる食事券、宿泊チケットなど。村上代表は「メンバーでいろいろと話し合ってきた。待っていてもしかたがない。状況は厳しいが、気持ちは前向きに対応していきたい」と話した。