奄美市が導入したAIロボットのシステムについて説明する市職員
奄美市は、新型コロナウイルスの経済支援策として、1人当たり10万円を支給する「特別定額給付金」について、支給業務の一部をAIロボットに代行させるソフトウエアを導入、紙の申請書のデータ化や入金処理のための入力作業を自動化するなど事務作業の削減、効率化を図っている。申請書の郵送による受付分については、当初6月中旬ごろからの支給を見込んでいたが、3日現在、対象者(2万3787世帯)の57%に当たる1万3597世帯への給付を終えるなど、AIロボット導入で約1週間の作業迅速化が図られた。
同市が今回、導入したのは、紙の申請書に手書きされた数字や文字を読み取ってデータ化する「AI―OCR」と、これまで職員が手作業で行っていた口座情報などの入力作業を自動処理する「RPA」の2種類のAIロボット。いずれもNTTデータ、NTTドコモ社が開発、自治体に無償支援されたもの。給付金の二重支給を防止するシステムも備わっており、作業の効率化のほか、手作業による誤入力などの人為的ミスの防止にもなっている。
市総務課によると、申請書の読み取りから口座情報などの入力作業すべてを手作業で行った場合、1件に約5分かかるが、AIロボットでは、1件30秒ほどで終えることができる。市はRPA内蔵のパソコン4台を支給業務に投入、これまでに最大で1日約4000件の申請処理を行うなど効果を上げている。
行政サービスの効率化と職員の働き方改革を推進する市は、昨年度から試行的にふるさと納税や軽自動車税の廃止登録などの事務作業にRPAを取り入れており、給付金の事務作業への導入もこうした取り組みの一環。
市総務課の押川裕也課長補佐は「単純な処理業務はAIに任せることで、市民からの問い合わせなど人でなければ対応できない仕事に職員を集中することができる。より、きめ細かな市民サービスの提供のためにもAIロボットを活用していきたい」としている。
同市の給付金支給対象者のうち、3日までに市が申請を受け付けたのは1万8658世帯で、内訳はオンライン申請が723件、市ホームページからのダウンロード3836件、郵送申請1万4099件。78%の市民が申請を終えているものの、郵送した申請書が宛先不明で帰ってくるケースもあり、市は「申請書が届いていない人は、連絡してほしい」と呼びかけてほしい。