告示まで1週間

8人が立候補を表明した県知事選のポスター掲示板

候補者乱立、8人が名乗り
保守票割れ気味、新人もまとまり欠く
県知事選

 25日告示(7月12日投開票)の県知事選まで1週間に迫った。いまのところ現職1人と新人6人、元職1人の計8人が立候補を表明。全員が立候補した場合、1947年の第1回知事選の5人以来、最多更新となる見通し。乱立模様に現職有利との見方もあるが、一定の保守票が割れ気味となっているだけでなく、脱原発票や若年・女性層を取り込みたい新人陣営もまとまりを欠く。対決構図は固まりきっていない。

 立候補を表明したのは、現職の三反園訓氏(62のほか、元鹿児島大学特任助教の有川博幸氏(61)、前九州経済産業局長の塩田康一氏(54)、前知事の伊藤祐一郎氏(72)、岩手大学名誉教授の八木一正氏(70)、医師の横山富美子氏(73)、元KTSアナウンサーの青木隆子氏(57)、元高校教諭の武田信弘氏(66)。いずれも無所属での出馬と見られている。

 昨年12月定例会で立候補を表明した三反園氏=自・公推=。前回は脱原発を掲げ、政策協定を結んだ野党一本化による支援を追い風に、自公推薦候補の現職だった伊藤氏を破り初当選。子育て・高齢者支援など県民福祉の推進と観光・農業を柱とした施策推進に意欲を見せ、2選を目指す。

 有川氏は「政党や党派を超え、新しい風に期待する県民の支持を集めたい」と若年層を中心にSNSでの運動を展開。塩田氏は経産省キャリアで培った人脈を生かした地域創生を掲げ、県出身者などの支援を受け県本土や奄美群島各地で草の根で活動を行っている。伊藤氏は女性支援者を集めた「語る会」などを開いて支持拡大に奔走。3期12年間にわたり県政を担った実績を掲げ、精力的に票の掘り起こしにつとめる。

 そのほか、八木氏は教育改革、横山氏と青木氏は脱原発や助成活躍、武田氏は地熱開発などそれぞれが公約を掲げ、最終準備に余念がない。

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 戦後最多となりそうな乱立模様の背景には現職への不信がある。4年前の選挙では対立候補だった経緯から、今回推薦する自民内部では、三反園氏の全面支持とはいかない思惑がくすぶる。

 実際、自民党県議団は現職推薦の意向を示したが、県連内部は現職以外の立候補予定者を推す県議や支持者で意見が分かれ、決定は難航。表面上「全会一致」の形で推薦を決めたのは4月に入ってから。県政刷新を公約に掲げる保守系立候補の複数出馬で、自民関係者は「現職票への影響が懸念される」との声も出ている。

 一方、現職の続投阻止に向け、共産を除く連合鹿児島などの野党でつくる「5者会議」は塩田、伊藤両氏に出馬の一本化を要請したが、いまのところ実現は厳しい情勢だ。物別れとなった場合は自主投票に。共闘態勢は立ち消えとなる。

 また告示まで1カ月を切るタイミングで、新人4人が相次いで出馬表明したことも有権者の関心につながるか意見が分かれる。「選択肢はあったほうがいい」「実現性のある政策提言に注目したい」とする半面、奄美市名瀬の男性会社員(56)は「新人候補の顔ぶれが多く、逆に混乱しそう」などと指摘する。

 近年の投票率を見ると、04年63・91%、08年38・99%、12年43・85%、16年56・77%。異例の候補乱立で陣営関係者の中には投票率低下を懸念する見方もある。