シラヒゲウニ漁解禁

16年ごろまでシラヒゲウニ漁獲でにぎわった奄美市名瀬の小宿漁港沖。左奥を曲がって小浜地区まで行って漁獲。ブルーシートかテントを設置し、ウニ割りに汗を流した

4シーズン連続で不漁か
奄美大島 夏の味覚、今年もお預け?

 「夏の味覚、今年もお預けか」―。奄美群島で1日、シラヒゲウニ漁が一斉に解禁(8月31日まで)された。だが、奄美大島内の漁業者や漁協職員らの話によると、解禁時期には殻径7㌢ほどに成長するシラヒゲウニを多数見たという情報はなく、今年も不漁とみている。奄美大島内では2017年から不漁が続いており、4シーズン連続の不漁を指摘する声が多い。

 名瀬漁協のシラヒゲウニ水揚げ量実績によると、1合瓶詰めと2合瓶詰めを合わせて▽04年725本▽05年281本▽06年492本▽07年1553本▽08年1877本▽09年1459本▽10年1157本▽11年669本▽12年782本▽13年1165本▽14年1203本▽15年1537本▽16年508本▽17年1本(1合瓶詰め)▽18年ゼロ▽19年ゼロ―で推移。今年は解禁日の1日、2日ともウニ水揚げ量はゼロ。

 解禁期間には変動があり、15年までの解禁期間は7~9月の3カ月間で、16年から7~8月の2カ月間に短縮された。

 名瀬漁協への04年以降の水揚げ量実績を見ると、年によって変動があり、08年の1800本台が一番多く、200本台~1000本未満が6回ある。

 名瀬漁協、奄美漁協(笠利本所、3支所)、宇検漁協、瀬戸内漁協職員や漁業者にシラヒゲウニ生息状況について話を聞いたが、「ほとんど見かけない」との声が多く聞かれた。

 5月中旬ごろから6月中旬ごろまで収穫作業をする笠利地区のもずく養殖業者は「海で養殖作業してきたが、今年はシラヒゲウニを1個も見なかった」と話した。また、名瀬漁協職員は「タコ捕り漁師によると、海底の岩をひっくり返すと、たまに小さなシラヒゲウニを見ることはあったが、数が少なく、(殻径7㌢以上に成長した)大きなものは見えないと言っていた」という。

 奄美市名瀬の水産会社2社によると、「1、2日ともシラヒゲウニの入荷はない」「3年ぐらい入荷していないと思う」。

 水揚げがあった16年シーズンまでは、2号瓶のシラヒゲウニを店頭販売していた名瀬のスーパーに2日行ってみたが、ウニはなかった。

 鮮魚店の50歳代の女性は「私たちが生きているうちに(シラヒゲウニを)食べられる日が来るかね?」と話していた。

 「数年間にわたって漁獲量ゼロが続くのは、(奄美大島では)珍しいのではないか」と話す住民もいた。激減の理由を「とり過ぎ」「主な餌の海藻類の減少」などを挙げる漁業者や住民がいた。だが、「餌がそれほどない年にもウニは多くいた」と話す漁業者もいた。