長期保存においしさも

「ロングライフパン」を取り扱っている大野商会。順調に取引店舗が増えている

大野商会「ロングライフパン」取り扱い
欠航時の食料品不足対応
買い置きと備蓄両立

夏場などの台風接近時に影響が繰り返され、年々深刻化しているフェリー長期欠航時の食料品不足に対応しようと、奄美市名瀬の卸問屋・㈱大野商会(大野明代表)は、長期保存が可能な「ロングライフパン」の取り扱いを開始している。日常的な買い置きと非日常のための備蓄の両立が可能で、天然酵母を使用しているため、しっとりとしたおいしさが評判だ。

同社によると、「ロングライフパン リッチブレッド」を販売する㈱東京ナチュラルイーストとの間で総代理店契約を締結。鹿児島県内では県本土の業者で同様に締結し取り扱っている所があるが、奄美群島内では唯一という。

商品の特長として通常のパンとは異なり、賞味期限が40~60日(製造日から)長いが、「長期保存だけでなく、そのおいしさから通常のパンと一緒に販売されても選んでもらえる」ことに着目。長持ちできるのは、▽安全な食品添加物で調合された食品鮮度保持剤の働き(菌の増殖を抑え、カビの発生防止)▽外気を通しにくい包装フィルム▽水分活性値が低い(微生物の繁殖防止)―があるが、天然酵母(発芽玄米酵母種)の使用がおいしさにつながっているほか、カロリーも控えめという。

大野代表(41)は「2月から取り扱いを開始し、既に約30か所に卸している。島内の食品小売業者や大型量販店だけでなく、学校や病院の売店、電力・ガス会社からも問い合わせがきている」と話す。希望小売価格は148円(税抜き)、商品は5種類(プレーン、塩バター、小倉あん、クリーム、チョコ)あるが、取引にあたっては試食を勧めており、「味わってもらうことで、長期保存パンで抱くパサパサ感がないことが理解されている。返り注文がある」。

販売数量は2月の約1000個から始まり、3月1500個、4月2000個と順調に伸びている中、安定的な供給へ1か月分卸せる在庫を確保している。フェリー長期欠航による食料品不足は他の離島も同様で、奄美大島以上に深刻。卸問屋のネットワークを生かし他の離島への供給も検討している。問い合わせは㈱大野商会電話0997・53・2100。