「離島の感染者搬送」盛込む

県開促協
21年度概算要求 国への提案事項コロナ対策
奄振推進、世界自然遺産登録も

 国の来年度予算概算要求は例年、8月下旬に示されるが、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で1カ月ずれ込み9月下旬となる見通し。概算要求を前にした県開発促進協議会(会長・外薗勝蔵県議会議長)の関係省庁や地元選出国会議員への提案活動も見直され、8月中に県東京事務所を通じての提案となる。2021年度政府予算概算要求に対する提案事項は重点26項目を含む78項目となり、新型コロナ感染症対策推進では与論島でのクラスター(感染者集団)発生など離島でも感染者が出ている中、離島からの感染者の搬送体制の確保についても盛り込んでいる。

 新型コロナ関係で「離島における感染者の搬送」は防衛、国土交通、厚生労働の3省に対して提案する。与論島で直面したように感染症指定医療機関(奄美群島では奄美大島にある県立大島病院のみ)のない離島で感染者が発生した場合、島内では十分な医療の提供が難しいため、離島からの感染者搬送体制確保について▽自衛隊や海上保安庁の協力を継続▽搬送に当たって必要となる防護資機材の確保について、国で対策を講じる―を求めていく。

 重点提案項目で奄美関係では、「奄美群島振興開発の推進」、「奄美の世界自然遺産登録」がある。このうち21年度の奄振予算については、奄美群島振興開発計画(1919~23年度)に基づく各種事業を着実に実施できるよう、奄美群島が必要とする予算額を十分に確保するとともに、特別交付税措置等の拡充を提案している。また、奄振交付金については地元の実情等に沿ったさらなる制度の拡充や事業の実施に配慮するとともに、十分な財政措置を要望している。

 世界自然遺産登録では、登録に向けた着実な取り組みと地域活性化への支援で▽世界遺産としての価値の維持に必要な取り組みの推進▽世界遺産センターなど施設整備等の推進▽奄美群島自然共生プランに基づく取り組みへの支援―を挙げている。

 開促協は議会、行政、経済など県内43団体で構成。例年6月に総会で要望を決め、7~8月に会長(議長)や知事、部局長らが上京し省庁を回る。今年の総会は新型コロナの感染防止の観点から書面開催となり、今月19日に最終的な要望先や内容が固まった。事務局の企画課によると、来週いっぱいかけて東京事務所が関係省庁への説明(提案項目)に乗り出す。