会えなくても音楽でつながる

マスクを製作した家庭クラブ部員ら


ウェブカメラの前で演奏を見せる吹奏楽部員ら


サンシンやチヂンも登場した演奏会

大高吹奏楽部がリモート演奏会
佳南園にマスクも寄贈

 奄美市名瀬の県立大島高校吹奏楽部は21日、同校多目的ホールと同市名瀬の特別養護老人ホーム・奄美佳南園をオンライン会議ツール「Zoom」でつなぎ、リモート演奏会を行った。新型コロナウイルスの影響で老人ホームへの訪問ができない中、吹奏楽部の演奏を楽しんでもらおうと企画された。画面越しに演奏を聴いた高齢者らからは大きな歓声が上がっていた。

 同校の家庭クラブ(岡﨑柊斗部長)と同園は約25年、ボランティアによる交流を行ってきたが、今年は新型コロナウイルスの影響で訪問を断念せざるを得なかった。そこで、家庭クラブの生徒らは同園の利用者のために手作りマスク100枚を製作。21日、同園に寄贈した。

 同部の岡﨑部長は「縫う作業が大変で、作っている間は面倒に感じることもあったが、完成したマスクを送って大変喜んでもらい、達成感があった。いい経験ができた」と振り返った。

 同日、同校の多目的ホールでは、Zoomを利用して、同園に向けリモート演奏会が行われた。部員らは高齢者にもおなじみの民謡や歌謡曲などを演奏。代わる代わるウェブカメラの前に立って演奏するなど凝ったパフォーマンスを見せた。

 ホールのスクリーンには同園の利用者の姿が映し出され、演奏に合わせて手を振ったり膝を打ったりして楽しむ様子が見られた。利用者のリクエストに応えて歌謡曲「島のブルース」やシマ唄のメドレーが演奏されると、ひときわ大きな歓声が上がっていた。

 演奏を終えた部長の松本彩楽(さら)さんは「吹奏楽部も新型コロナウイルスの影響で演奏の場が減る中、何かできることはないかと考えていた。みんなで時間を共有し、音楽を通して励ましや勇気を届けたかった」と企画の経緯を話した。

 準備期間は約1カ月で、大人数が集まることを避けるため全体練習は週1回に抑え、パート練習を中心に準備してきたという。

 そうして迎えた本番では「緊張したが楽しんでもらえてよかった。今後、他の病院や福祉施設に対しても同様のリモート演奏会を行っていきたい」と笑顔を見せた。