安倍首相が会見で辞任を表明した28日、県、奄美群島の関係者にも驚きと衝撃が走った。歴代最長の連続在任日数を記録するなど、長期政権を築き上げた安倍首相のリーダーシップを評価する一方、持病の悪化による体調不良を理由とした突然の辞任に「病気理由は仕方ない」と理解を示す一方、「大変残念」など惜しむ声も聞かれた。
金子万寿夫衆院議員(自民党・鹿児島2区)は「病気が理由なら辞任は仕方ない」と、持病の潰瘍性大腸炎の再発などを理由にした突然の辞意表明に理解を示し、「歴代最長の政権を築き、よく頑張っていただいた。経済回復にひた走り、道半ばではあるが地方創生に取り組まれた。外交では存在感を発揮し世界のリーダーとして活躍された」などとその功績を評価した。
また、新型コロナ対応など緊急を要する課題が山積する状況から「政治的な空白は許されない」との考えを示したうえで、ポスト安倍や次期衆院選の動きについて、「次期総裁選形式は、二階幹事長に一任されたが、新総裁が選出されるまでは引き続き首相としての執務を担うだけに空白は生じない。次期衆院選は新政権(新首相)の下で行われることになる。新政権の方向をある程度示した上で、あるいは予算編成の関係からも年内の解散はないだろう」との認識を示した。
塩田康一知事は、「突然の辞意表明に驚いている」としたうえで、「アベノミクスをはじめとする経済対策や外交問題など、長きにわたり我が国の抱えている諸課題に尽力いただいた。地方に光を当てる観点から、地方創生という新たな取り組みも進めていただいた」と、歴代最長の連続在任日数を記録するなどした政治力を評価。今後の国政運営については「新型コロナウイルスの感染拡大防止対策や経済の復興など、国民の暮らしに直結する様々な課題への対応が求められる中、国政の停滞を招くことのないよう、早期に新体制が形成され、地方や国民生活に対する十分な配慮の下で国政運営が行われることを望んでいる」などとコメントした。
奄美群島広域事務組合管理者の朝山毅・奄美市長は、2014年の奄美群島振興開発特別措置法改正と奄振交付金の創設などに尽力した功績に触れ、「現職総理として初めて奄美大島に来島いただき、島民に対して直接、奄美群島への思いを語りかけていただいたことも大変印象深く記憶している」などと評価、「突然の辞任は大変残念でなりませんが、奄美群島に大きな財産を与えていただいたことに心から感謝申し上げたい」などとコメントした。
大島郡町村会会長の高岡秀規・徳之島町長も2度の奄振法改正や奄振交付金の創設などに触れ、「交付金の創設が実現し、大幅に予算増額されたことは、我々群島民にとって大きな喜びとなった。辞任は誠に残念ですが、1日も早い体調の回復を群島民として祈念申し上げます」とコメントした。
奄美大島商工会議所の有村修一会頭は「今年に入りコロナ対策を最重要課題に国のトップとして取り組んでいただいた。最近は体調不良も報じられ、心配していた。リーダーシップを発揮するため無理をしていたのでは。まずは体力と気力を元に戻せるよう静養していただきたい。社会情勢が不安定な中、政府には、国民の生活に混乱を生じないよう取り組んでもらいたい」と話した。