自民奄振委

自民党本部で行われた奄美振興特別委員会

世界遺産拠点整備で6億7500万円
各省庁、奄美関係の概算要求説明

 【東京】永田町自民党本部では1日、2021年度予算概算要求の発表を受け、奄美振興特別委員会(尾辻秀久会長)を開催した。奄美からは朝山毅奄美市長、高岡秀規大島郡町村会会長らが出席した。会は金子万寿夫事務局長の司会進行ですすめられた。国土交通、総務、文部科学、厚生労働、農林水産、経済産業、環境、防衛の関係省庁が出席し、出席した議員らを前に、各予算の概要を説明した。

 尾辻会長から、奄美・沖縄の世界自然遺産に関する質問があり、「登録がとどまっているのは、新型コロナウイルスのせいだけなのか。審議予定が決まっていたら教えてほしい」と求めたのに対し、環境省側は「そうです。中止にすることはありません」と返答した。

 最後に高岡会長から「地元が努力しなくてはいけないことをしっかり認識しなければいけない。新型コロナを水際でどうやって食い止めるか。物が売れなくなってきているなどの影響も出始めている。100%は防げないが、どうやって行くかが課題」との報告があった。

 各省庁概算要求の奄美関係は次の通り。

 国交省=公共事業として、170億円を計上。前年度比91%を計上しているが、前年度以上を確保したいとしている。非公共事業としては28億円、前年度比119%を計上。奄美群島の特性に応じた産業の振興と、住民生活の利便性の向上に値する事業を支援する。

 これまでに続き、物資の輸送費支援、航路・航空路線運賃軽減事業をはじめ、世界自然遺産登録に向けた観光キャンペーンなど。新たに、感染症対策事業ではデジタルニューディールの推進、感染拡大防止への支援として避難所の整備、小規模事業者への支援。

 工業用機械の割増し償却制度の延長も要望する。

 航空関係では、安定的な輸送の確保のため、運航費に対する補助、航空機購入費の補助を実施する。

 総務省=携帯電話のエリア整備事業に30億円、高度無線環境整備推進事業に36億円を計上している。高度無線通信に必要な基地局開設に必要な伝送路を整備する費用の補助で、5Gの高度化サービスの普及を推進する。

 文部科学省=公立学校施設整備補助を継続的に行う。離島高校生就学支援事業、小規模校の教育活動の高度化、国宝重要文化財等の保護活用事業、奄美語を含む消滅危機にある8言語・方言の調査、保存・継承の取り組みを促すための協議会を開催する。

 厚生労働省=へき地保健医療対策費補助、ドクターヘリの運航体制の拡充。水道施設の整備に要する経費の一部を補助する。

 奄美群島での介護サービス提供体制の整備実績の報告。地域包括ケアシステムの構築にむけた、地域密着型サービスの整備を促進する支援を行う。地域雇用活性化推進事業として、地域の特性を生かした魅力ある雇用、人材の維持確保を図るための創意工夫ある取り組みを支援する。

 農林水産省=甘味資源作物生産支援対策として内外コスト格差を調整。担い手づくり総合支援交付金として200億円、ミカンコミバエ等、安全対策交付金30億円を計上。  
経済産業省=伝統的工芸品産業支援補助金、JAPAN育成支援等事業などを支援する。

 環境省=世界自然遺産登録推薦事業として1億2000万円を計上。世界遺産保全管理拠点施設等の整備費として6億7500万円を計上。VRを活用した感性に訴える展示施設など、世界遺産センター(仮称)の整備を行う。

 防衛省=陸上自衛隊配備の空白地域の体制強化。奄美駐屯地の覆道射場の外構整備、瀬戸内分屯地の火薬庫の整備等にかかる経費として49億円を計上。航空警戒管制多重通信網の複ルート化を行う。