奄美市19年度決算

一般会計実質収支は6億4054万円の黒字
歳入歳出ともに前年度比減 単年度収支14億円の赤字

 奄美市はこのほど、2019年度一般会計と特別会計の歳入歳出決算を公表した。一般会計は歳入総額361億7932万円(前年度比3・51%減)、歳出総額353億6310万円(同2・64%減)。市民交流センター整備事業や庁舎建設事業など約33億円を2020年度に繰り越したことなどから投資的経費が減少、歳入歳出ともに過去最大だった前年度から減額計上となった。歳入から歳出と翌年度に繰り越すべき財源を差し引いた実質収支は6億4054万円の黒字となった。一方、繰り上げ償還や積立金取り崩しなどを加味した実質単年度収支は14億1673万円の赤字となっている。

 一般会計の歳入を財源別にみると、市税など自主財源が85億9011万円(構成比23・74%)。市税が41億4438万円(前年度比3・68%増)と増えたことなどで、前年度から3億8950万円増えた。
 基金などからの繰入金は18億988万円(同2・98%減)で、財政調整基金からの繰入額は5億7369万円だった。

 依存財源は275億8921万円(構成比76・26%)。地方交付税122億1587万円と国庫支出金74億2441万円で歳入全体の50%以上を占めたほか、市債が44億3180万円などとなっている。

 歳出では投資的経費が前年度比25・47%減。内訳は普通建設事業費が大型公共事業の減少もあり前年度から15億5389万円減の60億6445万円。災害復旧費は台風被害などの減少もあり6億3028万円減の3億2616万円だった。

 普通会計を基に財政状況を判断する財政力指数(1に近いほど財政力が強い)は0・27で、4年連続で同じ。県内19市では西之表市と並び最下位で、県内市町村平均(0・29)も下回った。

 一般財源に占める人件費や扶助費、公債費などの割合を示す経常収支比率は93・6%で、前年度(91・4%)から2・2ポイント悪化。80%を超えると財政構造は弾力性を失いつつあるとされており、依然として厳しい状況となっている。

 収入に占める借金の割合で、18%を超えると危険ラインとされる実質公債費比率は9・5%で、前年度比0・2ポイント上昇。市町村合併した06年度は危険ラインを上回る18・6%だったが、08年度からは危険ラインを下回っている。

 市債の19年度末残高は429億3428万円で、市民一人当たり101万円の借金を抱えている計算になる。

 一般会計と特別会計を合わせた総額は、歳入496億2784万円、歳出484億8102万円。形式収支は11億4682万円の黒字で、翌年度へ繰り越すべき財源を差し引いた実施収支は9億6635万円の黒字を計上した。

 国民健康保険事業特別会計は、歳入52億7222万円、歳出52億2226万円で、4995万円の黒字。前年度の赤字2億1995万円を差し引いた単年度収支は2億6990万円の黒字となり、累積赤字を解消した。

 監査委員は審査意見書で「財政計画に基づく財政規律を順守し、市税や使用料等の自主財源の確保、必要性、緊急性を勘案した事務事業の執行、費用対効果の観点に立ったコスト意識の徹底などに配慮し、将来を展望した計画的な財政運営によって健全財政が堅持されるよう一層努力することを期待する」としている。