防疫対策研修

離島での防疫措置の重要性を意識づけた「高病原性鳥インフルエンザ・口蹄疫等防疫対策研修会」(車両消毒の実習)

島内で発生「過酷作業に」
沖縄での豚熱発生 空海港で消毒ポイント設置

 県大島支庁は15日、高病原性鳥インフルエンザ・口蹄疫等防疫対策研修会を開いた。今年1月には隣県の沖縄県で豚熱が発生、防疫体制レベルがレベル3(対策本部設置)に引き上げられた。沖縄と結ぶ航路や航空路線が存在することから、空海港での消毒ポイント設置などの対策が進められたが、島内で発生すると防疫作業は「過酷な作業になる」との指摘があり、侵入を防ぐ重要性を学んだ。

 特定家畜伝染病の管内農場での発生時に、迅速な初動防疫措置を的確に実施できるよう防疫体制を構築し備える必要があることから、管内担当部署・防疫措置従事者の理解を深め、迅速・安全な対応を図ろうと研修会を開催。主催者を代表し、同支庁農政普及課の田中浩人課長は「鳥インフルエンザは昨シーズン国内での発生はないが、中国や韓国など近隣諸国では続発しており、奄美への渡り鳥への飛来もあることから侵入リスクは高まっている」とあいさつ。県内では2011年に出水地区で発生以来、鳥インフル発生は10年近くない。

 室内研修では鹿児島中央家畜保健衛生所大島支所、同課、名瀬保健所の担当職員が講話。口蹄疫、豚熱、アフリカ豚熱、鳥インフルエンザ(高病原性・低病原性)の疾病概要と発生状況についてでは、必ず殺処分を行わなければならない防疫措置従事者の作業の流れの説明も。家畜によって異なる殺処分方法、消毒、埋却処分などが詳細に説明され、人員確保を含めて労力負担を要することが印象づけられた。

 離島における防疫措置では、家畜伝染病侵入リスクとして▽野鳥▽観光客・研修生▽本土からの技術者派遣▽防疫作業人員・資材(炭酸ガスなど殺処分で必要な資材)の確保に時間が必要―が挙がり、「リスクが低いわけではない」とした。実際の対応では沖縄県で豚熱が発生した際の取り組みを報告。港や空港での消毒マット設置は新型コロナウイルス対策にもつながるとして現在も継続中で、消毒が必要な畜産関係車両は沖縄からの移動は非常に少なく、名瀬港では1回の実施で済んだ一方、亀徳港では沖縄から闘牛の運搬があり消毒が実施されていることが説明された。

 沖縄県での豚熱発生では、支庁建設課・港湾管理部局の協力、荷役業者の協力体制、地域家畜防疫自衛組織(徳之島町役場)などにより「鹿児島県への侵入防止を図ることができた」との報告があった。

 室内研修後、支庁駐車場に移動し消毒ポイントでの車両消毒実習もあった。