27年度までのロードマップ策定

環境省、県、奄美大島5市町村 計画の着実な推進期待
奄美大島ノネコ管理

 環境省は16日、県、奄美大島5市町村と共同で、「奄美大島における生態系保全のためのノネコ(野生化したネコ)管理計画」にかかわるロードマップ(工程表)を策定したと発表した。2027年度に「奄美大島全域におけるノネコの低密度化、集落および市街地地区から新たなノネコ・ノラネコが発生しない状態」を目指す。同計画は18年に策定されたが、具体的な手順やスケジュールを示すロードマップが追加されたことで、計画の着実な推進が期待される。

 奄美大島にはアマミノクロウサギやアマミトゲネズミをはじめ多くの固有種や絶滅危惧種を含む貴重な在来生物が生息・生育している。しかし同省によると、森林域ではノネコの繁殖や在来生物の捕殺が確認されており、ノネコの頭数は約600~1200頭と推定されている。奄美大島にはもともと肉食性哺乳類は生息しておらず、ネコは人為的に持ち込まれた。ネコは国際自然保護連合が作成した「世界の侵略的外来種ワースト100」にも選ばれ、我が国でもノネコは総合的に対策が必要な、かつ特に緊急性が高い緊急対策外来種に分類されている。

 ロードマップのポイントは次の通り。

【希少種生育域(森林内)からのノネコの捕獲排除】南西部地域で実施中のノネコ捕獲および在来種モニタリングを21年度から奄美大島全域へ展開していく。
【ノネコの発生源対策】▽集落地区を重点地区A、B、Cに分け、①飼いネコのマイクロチップ装着率(最終目標90~100%)②外飼いネコの不妊去勢率(同100%)③完全室内飼いの割合(同70%)④ノラネコのTNR(繁殖制限を目的とした不妊手術)率(同80~90%)について、各年度における具体的な数値目標を地区ごとに設定▽市街地地区では外ネコモニタリングを推進するなどして、市街地地区に適したTNR手法を検討、実施▽各市町村で制定している飼い猫条例に基づき適正飼養を啓発し、ノネコの発生原因となるノラネコの増加を抑える。

 これらの施策は定期的に進捗を共有し、同計画の取り組み全体の評価・見直しを図る。

 奄美猫問題ネットワーク(ACN)の鳥飼久裕副代表は「ロードマップが示されたことで、奄美大島におけるノネコ対策の目標と手順が、行政や島民の間で共有できるようになり、ありがたい。ACNとしては行政とともにノネコの発生源対策に取り組みたい。具体的には島民への飼い猫の適正飼養の啓発と、市街地に生息するノラネコの実態調査を着実にやっていきたい」と語った。

 このロードマップの詳細は環境省沖縄奄美自然環境事務所、県、奄美大島5市町村の各ホームページに掲載されている。