ビーチロックが露出した状態の大浜海浜公園
知名瀬港に仮置きされた小宿漁港浚渫工事で除去された砂
奄美市は、同市名瀬平松町地先の小宿漁港の浚渫(しゅんせつ)工事で除去した砂を、砂浜の減少が指摘されている同市名瀬の大浜海浜公園の養浜に利用する計画を進めている。年内の事業化を目指しており、早ければ11月中にも砂を運び込む予定。市は「砂を利活用することで処分費用が削減でき、大浜海岸の景観整備にもつながる」と、“一石二鳥”の事業効果を期待している。
同海浜公園は、年間を通し多くの観光客が訪れるほか、夏場はたくさんの海水浴客でにぎわうなど、奄美大島の代表的観光スポットとなっている。一方で、約1キロの海岸線の一部で、ビーチロックが露出するなど、近年、砂浜の減少が指摘されている。
同公園を管理する市紬観光課によると、砂浜では台風や季節風などの影響で浸食被害が確認されている。浸食後、再び砂が戻るなど年次的な増減はあるものの、「砂浜が徐々に減少傾向にあるのは確か」という。
小浜漁港の浚渫工事は、同漁港を利用する漁船の航行の安全性確保など漁港施設の長寿命化が目的。港から沖合に向けた約950㍍、幅20㍍の航路に溜まった砂を除去するもので、7月に始まった除去作業も今月初めに終了する見込み。除去された砂は現在、同市名瀬知名瀬の知名瀬港に陸揚げ、仮置きされている。
市土木課によると、除去した砂を残土として、同市名瀬大熊の建設残土処分場で処理した場合、運搬費など多額の処理費用がかかることになるという。一方、同海浜公園の養浜に利用した場合、仮置きしている知名瀬港からの運搬距離が短縮でき、処分場での処理費もかからない。同課は「砂の有効利用と市財政の負担軽減になる」と事業効果を指摘する。
同課は10月下旬、大浜海岸への砂の投入について、県大島支庁に許可を求める申請を行っている。同海岸への砂の投入について同課は、「過去にも実績があり、砂の成分調査なども実施し、問題がないことを確認している」としており、11月中には許可が下りると見込んでいる。市は、許可が下り次第、投入作業に入る計画で、3月末までには養浜作業を終える計画だ。
紬観光課も「観光客に人気のスポットだけに、砂浜の維持など景観保全は重要。今後、担当部署と連携し、砂浜の保全に努めたい」としており、来年夏の海水浴シーズンには、ビーチロックむき出しの砂浜が解消されることになりそうだ。