風葬墓から中世のカムィヤキ見つかる

発見された風葬墓とカムィヤキのある場所を指す同町文化財担当の宮城幸也さん=知名町大津勘=

 

出土したカムィヤキ片と人骨片

 

 

知名町、群島最古の可能性も
人骨片とともに小壺破片

 

 【沖永良部】知名町教員委員会は18日、同町大津勘字で見つかった風葬墓からカムィヤキ片が出土したと発表した。奄美群島において石灰岩の岩陰を利用した風葬墓からカムィヤキが見つかったケースは初めてとされ、群島内最古の風葬墓の可能性がある。

 今年6月、大津勘橋の改修工事に伴い、周辺の文化財や古墓の調査を実施。地表に露出していた人骨片とカムィヤキ片が見つかり、風葬墓の発見に至った。7月以降、国の事業を活用して墓の外観や遺物などの確認作業を続けてきた。

 11月16日から試掘調査を行い、取り除いた石積みの下を掘り下げたところ、人骨片とともにカムィヤキの小壺の破片が出土した。

 カムィヤキは徳之島で11~14世紀にかけて作られていた陶器。見つかった壺の表面には波状の文様があり、11~12世紀に作られたものと考えられる。人骨は複数体見つかっている。

 調査に参加している骨考古学が専門の鹿児島女子短期大学教授の竹中正巳さんは「風葬墓のスタイルが奄美群島でいつから使われるようになったのかは定かではなく、人骨とともに物証が出てきたことは大きい。出土物が同時期のものだとすれば、群島最古の風葬墓の可能性がより高くなる」と話した。

 同町教育委員会文化財担当の宮城幸也さんは「琉球列島の風葬墓が作られた時期や過程などを検討するための貴重な遺跡になるかもしれない。これからの分析が楽しみ」と語った。

 試掘調査は20日まで続けられる。