新型コロナウイルス感染症は、国内では一日の新規感染者が過去最多を記録するなど感染拡大の状況にある中、季節性インフルエンザの流行期を迎え「県民は大変不安な気持ちになっている」として塩田康一知事は20日、感染拡大対策への見解を発表した。知事は「現時点では医療提供体制がひっ迫している状況ではない」として、県の感染拡大警戒基準は現行(ステージⅡ)のままで、行動制限・飲食(会食)の利用人数制限も行わない方針を示した。
県が独自に設定した警戒基準では、感染および医療提供体制の状況に応じてステージⅠからⅣを設定。ステージの判断に当たっては、医療提供体制などへの負荷、監視体制、感染の状況からなる六つの指標を踏まえ、専門家の意見も考慮した上で、「特に社会的な基盤である医療提供体制を確保する点を重視して、総合的に判断する」としている。
現行のステージⅡは、▽感染者漸増▽医療提供体制の負荷が蓄積―が感染状況の段階。警戒基準引き上げのステージⅢは▽感染者急増▽医療提供体制の支障を避けるための対応が必要―となり、接待を伴う飲食店等への休業協力要請、クラスター(感染者集団)が発生する恐れのある施設の利用自粛要請、感染拡大地域との県境を越えた移動自粛要請などの施策が実施される。
全国的な感染拡大を受けての知事の見解発表は、同日の定例会見の冒頭にあった。県内では10月下旬以降、与論町、鹿児島市の高齢者施設、大学のサークル活動などでクラスターが発生している。知事は医療提供体制の状況から「県民の外出、県境をまたぐ移動の自粛要請などさまざまな行動を制限する段階にはない」と述べ、来県・県外移動の「GoToトラベル」利用にあたっては、「発熱などの症状があったら控えるなど体調管理をしっかりと行い、引き続き警戒感を持って感染防止対策(マスク着用、手指消毒、人と人の距離確保)を徹底してほしい」と呼びかけた。年末年始の帰省についても言及し、移動自粛の制限を行う段階ではないことを強調した。
また、政府は飲食店を支援する「GoToイート」で利用人数の制限(4人以下)を各都道府県で検討するよう求めているが、知事は「本県における感染状況を踏まえ現時点で人数の制限を導入しない」と述べ、県民には「感染リスクに留意しながら新しい生活様式に沿った会食」、事業者には「業種別のガイドラインを順守しながら感染防止対策の徹底」に取り組むよう呼びかけた。