県議会代表質問

利用ルール効果検証し両立へ
PCR整備、年度末まで45台助成

 

 12月定例県議会は2日、代表質問があり、自民党の中村素子議員=阿久根市・出水郡区=、県民連合の前野義春議員=鹿屋市・垂水市区=が登壇。奄美の世界自然遺産登録に向けた取り組みで、奄美大島や徳之島の林道利用・管理で利用のルール等の効果検証を行い、自然環境の保全と利用の両立の取り組みを推進するとの答弁があった。新型コロナウイルス感染症対策ではPCR検査機器の整備について、年度末までに合わせて32検査機関等で45台に助成する計画が示された。

 2021年度当初予算編成方針について、塩田康一知事は「まずは新型コロナウイルス感染症対策を着実に進め、県民の安心安全と経済活動、社会活動の両立が図れるよう取り組んだ上で、今後の県政発展の基盤をしっかりとつくっていくため基幹産業の農林水産業、観光関連産業のさらなる振興、地域を支える人材や新たな未来を切り開く人材の確保、技術性の高い製造業など若者が働く場として新たな産業の創出に取り組む」と決意を述べた。

 予算歳入における県税収入、地方交付税および国庫支出金の動向については平木万也総務部長が答弁。それによると、9月末に総務省が示した21年度地方財政収支の仮試算では、21年度の地方税収が大幅な減となる見通しが示されていることから、「今後、今年度の税収動向、経済情勢の推移、税制改正の影響、地方財政計画などを踏まえながら適切に見積もっていく」と語った。

 世界自然遺産登録関係は松下正環境林務部長が答弁。アマミノクロウサギなど希少種の捕殺が確認されているノイヌ・ノネコ対策については「県が事務局となり市町村参加のもとノイヌ・ノネコ対策検討会を設置し、関係機関と対策を検討してきた」と説明し、これらの関係機関が連携し山野で生活するノネコの捕獲、供給源対策として適正飼養の推進、集落周辺で生活するノラネコの不妊化手術に取り組んでいるとした。

 エコツーリズム推進と林道利用・管理は、エコツアーガイド認定制度により現在109人が認定され、「安心安全で質の高いプログラムの提供、自然環境の保全の取り組みが行われている。林道利用・管理の状況は、認定ガイドの同行、ガイド車両の台数制限などのルールを設定している」との答弁があった。また、徳之島における県担当者等の配置について松下部長は、環境林務部内の奄美自然遺産総括監配置や推進室設置、大島支庁内に担当者や奄美群島振興開発総括監(世界自然遺産登録に向けた取り組みと観光客の受け入れ態勢の整備など一体的に推進)を配置しており、「県の出先機関の徳之島事務所において必要に応じ連携を図りながら対応している」と述べ、新たな配置には踏み込まなかった。

 コロナ禍におけるDVの現状・県の防止対策が取り上げられた。印南百合子・男女共同参画局長の答弁によると、今年4月~10月までに県内の配偶者暴力相談支援センターに寄せられたDV被害者からの相談件数は1190件で、前年同期比45件増加。相談件数のうち新型コロナにかかる被害相談は165件に上っていることが報告された。

 新型コロナ感染症対策は地頭所恵・くらし保健福祉部長が答弁。医療機関等への支援金、医療従事者等への慰労金支給状況は、11月末日までの慰労金の支給累計は3321件・約8万3千人・約65億円、支援金は907件・約14億円と報告した。国の緊急包括支援交付金等を活用した各種施策の取り組みは、▽PCR検査機器整備=11月5日時点20検査機関等で21台、年度末までに計45台に助成▽タブレット等を活用したオンライン面会実施体制=障がい者施設58施設、介護施設137施設に助成―などを説明した。

 季節性インフルエンザとの同時流行に備えた新たな相談・外来診療・検査体制について、地頭所部長は「医師会等と連携を図り、発熱患者等の診療または検査を行う体制の整備に努めている」と答弁。県は11月1日付で813医療機関を指定したが、その後追加申請や解除の申し出から、11月30日時点で795医療機関を指定。かかりつけ医がいない場合の相談先である受診相談センターとして保健所が11月以降、その役割を担っているが、さらに同センターの代理機能として電話相談体制を整備した医療機関について11月30日付で23機関を指定している。地頭所部長は「今後、各地域において夜間、休日等の対応、発熱患者が集中した場合の対応等について協議を継続する」と述べた。