黒糖とまつわる歴史学ぶ

生徒に黒糖づくりを強いられてきた歴史を講話する晨原教育長

「未来志向で誇りに」
大和村教育長が講話
田検中

 宇検村の田検中学校(鬼塚祥朗校長、生徒19人)で3日、奄美黒糖の歴史を学ぶ講演会があった。晨原=あさはら=弘久・大和村教育長を招いて、奄美の特産品「黒糖」と黒糖づくりにまつわる薩摩藩の圧政、厳しい生活を強いられて「黒砂糖地獄」と呼ばれた当時の様子を講話。生徒と職員が熱心に聞き入った。

 総合的学習の一環。同校生徒は校内に設けた農園でサトウキビの栽培、収穫。さらに黒糖づくりまで、一連の作業を体験。今回は奄美で栽培が始まった江戸末期、明治からの黒糖づくりの観点による近代史を学んでもらおうと企画。同校多目的スペースを会場に全生徒、全職員が参加した。

 晨原教育長はイラストなどを用いて、奄美にとって過酷な時代を紹介。約200年以上前、財政事情が苦しかった薩摩藩が借金返済のため黒糖づくりを本格化。高い税率を設け、過酷な労働と厳しい取り立てで、多くの島民が生活に困窮していた時代をわかりやすく説明した。

 教育長自作の紙芝居では、群島民が一致団結して平和的な活動で圧政からの脱却を図った経緯が語られ、「先人が乗り越えてきた苦難の歴史の事実を学ぶことは大切。伝統文化につながっているという未来志向で、誇りに思ってほしい」と結んだ。

 3年・安原妃那さんは「当時の奄美のことを詳しく知ることが出来た。そうした歴史を経て、いまの私たちがあることを忘れないようにしたい」と話した。