奄美大島・上半期ウミガメ

過去9年間で最少となったアカウミガメの産卵(提供写真)

 

リュウキュウイノシシ食害22.7%
上陸・産卵調査結果 アカウミガメ過去9年で最少

 

 奄美海洋生物研究会(興克樹会長)は、2020年度上半期(4~9月)の奄美大島へのウミガメ上陸・産卵回数をまとめた。上陸回数は772回。産卵回数は546回で昨年比186・3%と大幅に増加したが、アカウミガメは111回と過去9年間で最少だった。リュウキュウイノシシによるウミガメ卵の被食率は22・7%と前年より増加、採食行動の恒常化が確認され、同会は保護対策の強化を訴えている。

 本調査は、同会が関わる環境省のウミガメの産卵モニタリング等業務や奄美市ウミガメ保護監視員業務で得られた調査データと、島内市町村や地域団体が実施した調査データを集計して分析。上陸・産卵調査とリュウキュウイノシシによるウミガメ卵採食状況調査を行った。

 ウミガメ上陸回数は、▽アカウミガメ174回▽アオウミガメ428回▽種不明170回の計772回。産卵回数は546回(アカウミガメ111回、アオウミガメ335回、種不明100回)で、前年比186・3%と大幅に増加したが、過去9年間の最多だった12年1081回の50・5%となった。

 アカウミガメの産卵回数の減少について同会は、東シナ海の餌資源の減少による産卵頻度の低下や混獲などが理由と推察しているが、18年に中国舟山市で発覚した128頭の密猟にも注目している。

 在来種リュウキュウイノシシによるウミガメ卵および幼体の採食は124巣で前年比261・7%、被食率は22・7%と増加した。被食が発生した8浜の多くは前年も被食があり、採食行動の恒常化が見られるという。

 同会は「採食が恒常化した浜では、その地域の産卵個体群の減少も懸念されるので、保護対策の強化が求められる」と訴えている。