訪問看護師のためのメンタルヘルスケア

講師を務めた平城修吾さん

自分の心、ケアして
奄美市講習会 アンガーマネジメントなど学ぶ

 奄美市はこのほど、「訪問看護師のためのメンタルヘルスケア」講習会を奄美文化センター2階会議室で開いた。講師は奄美こころサポートオフィス代表の平城修吾さん(33)。平城さんは現在作業療法士として精神科病院で働きながら、大学院で「労働者のメンタルヘルス」を研究している。その視点から、医療従事者の心の状態が業務に大きく影響することを説明した上で、適切なケアの方法を伝えた。

 この日は市内の訪問看護事業所4カ所から27人が参加した。

 講座では、訪問看護師は原則一人で利用者の自宅に出向き、さまざまなことに対応することが多いことなどの理由から、心理的な負担が大きいことを挙げた。また、メンタルの疾患問題による経済的損失は、慢性疼痛を越えて精神疾患を抱える人が一番多いという。さらに、欠勤している人よりも体調不良のまま出勤している人の方が間接的コストの損失が大きいとした。

 中盤で参加者は、医療従事者の半数以上が抱えていると言われる心の問題を「作業機能障害」として、ワークシートを用いて現在の状態を確認。その上で、自分でできる予防法▽作業バランスの調整▽アンガーマネジメント▽信念対立解消アプローチ―を学んだ。作業バランスの調整では、普段行っている生活を四つのグループに分け、効果的な行動を増やし、無意味と思われる行動を減らすことができるよう可視化した。

 平城さんは「自分の心が安定すると、利用者に対するケアの質が上がる。島の看護を支えるみなさん自身が、自分を大切にしてもらえたら」と結んだ。

 市高齢者福祉課生きがい推進係・名瀬地域包括支援センター係長・渡嘉敷誠さんは「コロナ禍でストレスレベルがさらに上がっていることも加味し、医療や介護従事者の皆さんが安心して働き、自分自身の人生が豊かに歩めるお手伝いができれば。今後も継続して現場の最前線で頑張る方々を応援したい」とした。

 奄美市名瀬で約20間、精神科訪問看護に携わる直原博文さん(58)は「とても参考になった。アンガーマネジメントの、怒りを感じたらひとまず6秒間やり過ごすという部分を現場で実践できたら」と話した。

 参加者に実施したアンケートには、「他のスタッフにも講習内容を伝達したい」「ワークシートを記入することで、自分の心の状態に気づけた。無意味作業をなるべくゼロに近づけたい」などと回答があった。