年末回顧③

 自公推薦の現職を破り、初当選を果たした塩田知事(写真左、7月撮影)

知事選、2期連続で現職敗北 選挙

【県知事選】

 6月25日告示。現職と新人、元職合わせて7人が立候補。1947年の第1回知事選(5人)以来、最多を更新する乱立・混戦の争いとなったが、無党派層を中心に支持を集めた無所属新人で前九州経済産業局長の塩田康一氏(55)が初当選を果たした。

 混戦模様だった選挙の終盤は、塩田氏と2選を目指す現職の三反園訓氏(62)=自公推薦=、前知事で元職の伊藤祐一郎氏(73)=無所属=の3人が争う構図に。投票結果は塩田氏が約22万2千票を獲得し、組織戦を展開した次点の三反園氏に約2万7千票差をつけ当選。初の経産省出身知事が誕生した。

 現県政への評価や新型コロナウイルスの感染防止対策、九州電力川内原発運転延長が主な争点だったが、保守分裂による与党内部のねじれや野党勢力も共闘には至らず、選挙の混迷に拍車をかける事態に。また自公推薦を受けた現職知事が2期連続で敗北するなど異例づくしだった。

 投票率は49・84%で、参院選との同日選となった前回選(56・77%)を下回った。

【奄美の自治体選挙】

 奄美群島内では、徳之島以外の離島で議会議員選挙があり、喜界町は首長選とのダブル選挙となった。

 皮切りとなった大和村議選(5月19日告示、24日投開票)は定数8に10人が立候補。投票率は90・14%(前回91・94%)だった。

 8月は統一地方選があり、宇検村(定数8)、龍郷町(同10)、和泊町(同12)、知名町(同12)、与論町(同10)の計5町村で議員選挙(25日告示、30日投開票)を実施した。

 宇検村は2期連続の無投票。選挙を実施した4町の投票率はいずれも前回よりも下回った。龍郷町は初の女性議員(1人)、和泊町は25歳の最年少女性議員がそれぞれ誕生した。7月にクラスター(感染者集団)が発生した与論町では自粛ムードの中での選挙戦を強いられた。

 喜界町長選(9月22日告示、27日投開票)は、今年3月に現職の川島健勇町長=2期目=が引退表明したことを受け、いずれも無所属の新人で、元副町長の隈崎悦男氏(66)と元県職員の米澤守光氏(71)が立候補。20年ぶりとなる新人対決の選挙戦に突入した。また同日選となった同町議選は定数12に14人が立候補した。

 町内を二分した町長選は川島町政の継続を掲げた隈崎氏が、米澤氏を102票差で破り、初当選。投票率は86・59%で、2000年の前回選(95・67%)を9・08ポイント下回った。

 瀬戸内町議選(11月17日告示、22日投開票)は定数10に15人が立候補した。前回無投票だったため選挙は8年ぶり。初の女性議員(2人)が誕生した投票率は79・77%で、過去最低だった前々回(85・36%)をさらに下回った。

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 始まって以来の候補者数の乱立、20年ぶりの選挙戦、女性議員の誕生―などバラエティーに富む情勢が見られた今年の選挙。一方で新型コロナの感染拡大といういまだかつてない事態の中、動員を最小限にし、支援者への握手や街頭演説を控えながら遊説するなど従来型の選挙活動が行えない状況も立候補者の頭を悩ませた。感染収束の見通しは立たず、来年もコロナ禍での選挙を強いられそうだ。
(川内 博文)