コロナ禍一色 さよなら2020

新型コロナの指定医療機関として離島医療の拠点となっている奄美市の県立大島病院(西康範さん撮影)

世界自然遺産登録「希望の光」に

 コロナ禍一色だった2020年が過ぎ去ろうとしている。今年初めは、遠く中国での出来事のようにとらえていた新型コロナウイルス感染症が、日本全国に拡大、現在も猛威を振るっている。奄美でも多くの感染者が確認される事態となった。収束の目途は立たず、今もなお社会に大きな影を落としている。

 感染拡大により全国の医療機関では入院患者の受け入れがひっ迫、医療崩壊の危機が叫ばれている。とりわけ医療体制の脆弱な奄美群島にとっても切実な問題だ。感染者が連日、県本土や奄美大島の指定医療機関に搬送されることとなり、離島の医療体制の脆弱さを改めて認識させられた。

 奄美群島唯一の指定医療機関である県立大島病院では10月、ようやくPCR検査機器が導入され、島内での検査体制が整備された。感染者を出さないことが一番重要だが、万が一への備えは大切だ。

 感染拡大の影響で、今年予定されていた東京オリンピック・パラリンピック、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産登録も来年に延期となった。来夏に予定されている世界遺産委員会で登録が実現すれば、感染が収束しコロナ禍を乗り越えた先にある「希望の光」となるだろう。

 来年の干支は、「丑年」。一歩一歩ゆっくりと着実に感染収束に向かっていると信じ、奄美の新たな歴史を紡ぐ始まりの年となることを願いながら、新年を迎えたい。