【東京】政府が7日にも再び東京、神奈川、埼玉、千葉(首都圏4都県)に向けて緊急事態宣言を発令する。既に昨年後半から時短要請を受けている飲食店は、さらなる厳しい状況に追い込まれることが予想される。首都圏で奮闘する島関係者が営む店は、このピンチにどう対処するのか。現在の状況を聞いた。
サラリーマンの街・港区新橋で「島の台所・まさむぬ」の店長・酒匂智弘さん(与論島出身)は「今月から店で提供する予定だった、島の食材を基にした健康志向のメニューをテークアウトで対応したいですね」と前向きだ。ただ都の要請に従っての「夜8時の閉店は正直、頭が痛いですね。客の入りを見ながら(店を)休業することも考えております。従業員は、うちが別展開するラーメン店の手伝いに回ることも、あり得るでしょうね。うまくいくかどうか…」と困惑の様子で説明する。
奄美大島(奄美市笠利町)出身の土濱あかりさんが切り盛りする、渋谷区の「土濱笑店(つちはましょうてん)」も都の要請に従う。ランチは継続するが、これまでの午後5時半から10時の夜の営業時間を、5時に前倒しする。「アルコールの提供は午後7時までですので、ほとんどお客さんは来ないと思いますよ。果たして、どうなりますか…」(あかりさん)と戸惑いを隠せない様子。
また、千葉市に昨年3月イタリア料理店「イタリアンバルMARIO」をオープンさせた岸岡龍輝さん(徳之島3世)は「この前までGoToイートで常に満席になっていたのに、昨年4月に続いてまたですかという感じですね」。悔しさをにじませるように語った。時短要請には応じる構えだが、「たとえ1日5万円の保証金が出たとしても、平日の売り上げにも程遠い」との死活問題を口にした。幸いキッチンカーがゴルフ場で大人気になっており「予想以上の売り上げがあり、おかげで、なんとかやっています」という。
一方、神奈川県伊勢原市にある「奄美居酒屋ルリカケス」の店主・秋田将志さん(奄美2世)は「昨年4月はそれなりの保証があったので休業しました」と振り返り、「今回も追加の保証などを見極めての対応になりますが、午後8時までの営業では意味がないので休むことになるでしょう。今後は、サーターアンダギーや奄美の物産を昼間に販売するなど、新たな展開も視野に入れています」と前向きにとらえている。目に見えぬ敵に不安感を抱く店主たちだが、声のトーンは決して沈んではいなかった。