徳之島「亀徳港」の静穏化・安定利用を目指して整備21年目の「防波堤(沖・南)」(手前)=13日、徳之島町
【徳之島】県が、徳之島の海の玄関口の亀徳港(徳之島町)改修事業で、港内の静穏度を高める「防波堤(沖・南)」(計画延長300㍍)の整備に着手して21年。これまでに255㍍を整備(進捗率約85%)。鹿児島―沖縄航路の定期船の発着、生活物資の搬入、農畜産物の搬出など島民の生活・経済を支える海路の安定利用率の向上へ、早期完成が期待されている。
県大島支庁徳之島事務所などによると、同島東岸に位置し太平洋に面した亀徳港(新港および本港)は、夏期は南西~南東の風が50%以上、冬期は逆に北西~北東の風が約60%以上を占める。特に夏期の波向は南方向が多く、波浪の高さによっては天城町平土野港(陸路移動約28㌔)への寄港地変更も年平均約40回発生。生活物資や乗降客の移動に不便をきたしているのが現状だ。
外海からの波高を抑える「防波堤(南)」(延長500㍍)や「同(北)」(通称・一文字、同150㍍)があるが、台風時などは岸壁の背後の旅客ターミナルが高波被害を受けている。外郭施設(沖防波堤)の当面の整備方針として、船会社や荷役会社、地元などから強い要望のあった「防波堤(沖)(南)」(新港岸壁の沖合約1㌔、水深約30㍍)の整備を進めている。
「防波堤(沖・南)」の整備は2000年度に着工し、完成予定は27年度ごろ、総工費見込みは約160億円。計画延長300㍍(幅32・4㍍)のうち21年目の今年度までに255㍍(85%)を整備。事業費は約140億円を投入、見込み事業費ベースの進捗は約87・5%となっている。
整備工事は、大型のケーソン(1函当たり15㍍×32・4㍍)を奄美大島で製作後、亀徳港沖に回航して据えつけ、砂利など中詰材を投入して上部コンクリートで固めるなど手間の掛かる工法を余儀なくされている。海上での作業は天候にも左右され、時間と費用も要している(県港湾空港課)。
同防波堤は今後さらに約8年をかけて西側(写真左側)に残り45㍍延伸される。同港の船舶代理店・荷役関係者たちは「亀徳港は島民にとって重要な生活航路の玄関口。(静穏度向上への)抜本的効果には気づいてないが、早期完成による今後の効果発揮に期待したい」、「天候不良はどうしようもない。島の反対側にある平土野港の存在はありがたいが、寄港地の変更は少ないほうがいい」などと話していた。