巣箱の蜂の巣を手に指導する伊藤さん(提供写真)
採取した蜂の巣からはちみつを取る作業(提供写真)
完成したはちみつを手に笑顔の田畑さん(右)と中村さん(提供写真)
校内で育てたハチの巣(提供写真)
地域との交流や自然の美しさに触れる機会づくり、商品の流通、地産地消を学ぶことを目的に、瀬戸内町加計呂麻島の伊子茂小中学校の小学4年生、中村なぎ恵さんと田畑実奈都さんは、「ニホンミツバチ」の養蜂からハチミツの販売まで、一連の流れを体験しました。ハチミツは95㌘の瓶43個分完成し、同町瀬相の市場で販売後、好評につき数日間で完売。売上金は地域貢献に充てられるといいます。
この取り組みは、総合的な学習の時間や理科、社会科の授業をリンクさせたもので、指導は自宅の一角(於斉集落)でニホンミツバチの養蜂をする伊藤信雄さんが担当しました。3月に伊藤さんから巣箱の寄付を受け、1学期は週に一度観察しながらニホンミツバチの生態を学習。一つの巣箱に一匹しかいないと言われる「女王バチ」も発見しました。ハチミツの採取は11月で、同時期にハチの巣の膜を破って、新たな命が生まれる貴重な瞬間にも立ち会いました。中村さんと田畑さんは「がんばれ」と励まし、無事に産まれると「きょうがこのハチの誕生日だね」と目を輝かせました。
採蜜後は同町俵にある食品加工場で瓶詰体験も。藤本暁教頭先生も「食品衛生責任者」の資格を取得し応援したといいます。
藤本教頭先生によると、ニホンミツバチは生育が難しい上に、一匹が一生かけて集めるハチミツはティースプーン1杯(約5㍉㍑)ほど。手間や希少性を考えると、値段は高値が付けられる(100㌘約1000~2000円)ことが一般的だそうです。しかし2人は「ハニー」と掛けて「820円」で販売することに。表示ラベルにもしっかりと2人の名前が刻まれ、養蜂から携わったハチミツが「商品」に生まれ変わりました。
同商品を同町瀬相の「いっちゃむん市場」に卸すと、またたく間に完売。売上金は地域貢献活動費に充てられるといい、現在「バス停にベンチを設置する」か、「ニホンミツバチが好きな花を伊子茂の港付近に植える」二つの案が上がっています。