“守り”に徹し幸福サポート

元山公知村長(左)から辞令を受け取る栄雄大さん

Uターンで協力隊に
宇検村 芦検出身の栄さん、1日に着任

 「自分のしたいことを改めて考えた時、宇検村で生まれ育った子どもが、『宇検に生まれて良かった』と思える村づくりに関わりたいと思った」と語る栄雄大さん(26)は1日、制度を利用する人のなかでは珍しい「Uターン者」として宇検村の地域おこし協力隊に着任した。同村芦検出身で、中学校卒業とともに奄美市名瀬の寮へ(大島高校)。その後は熊本県の大学で言語聴覚士の資格を取得し、福岡県の病院でリハビリテーションの仕事に従事した。

 「地元に戻るつもりはなかった」と話す栄さんの気持ちに変化が起きたのは、新型コロナウイルスの影響で、考える時間が増えたことから。もともと子どもの支援に興味があった。大学時代には有償ボランティアで発達障がいをもつ子どもたちと関わるなかで、「脳の勉強がしたい」という思いが芽生えた。卒業後は、脳科学を学ぶことができる成人のリハビリに携わる。そのなかで、病院でできる支援の限界や、自分のやりたいこととのミスマッチにも直面する。

 「病院」や「言語聴覚士」という枠にとらわれず、本質的な支援ができる方法はないか。アンテナを張るなかで、地元宇検村の地域おこし協力隊の募集を見つけた。「その人がその人らしく生きられる支援」には、医療面のサポートだけではなく、家庭や学校、地域と連携が取れた支援が欠かせないという。なお、同協力隊は企画観光や産業振興に関わる、いわゆる“攻め”の役割を任されることが多いが、栄さんは地域住民の健康を保ち、公的補助で幸福を追求する“守り”側に徹する。

 同日の委嘱式で元山公知村長は「宇検村が進める『地域共生社会』実現に向けた福祉計画と、彼のやりたいことがマッチしていると感じた。話しかけやすい人柄を生かして、村民の困りごとを拾い上げてほしい。また、Uターンの人材を協力隊として受け入れることで、村に戻ってきたいと思う若者が増えてくれたら」と期待した。