環境省・世界自然遺産普及啓発 レンタカー業向け講演会

屋久島の取り組みを紹介しながら、世界自然遺産登録の観光の変化を語った松本さん

環境省が配布したロードキル防止のステッカー

「魅力や注意点じかに伝えて」

世界自然遺産普及啓発事業の一環として、環境省奄美群島国立公園管理事務所(奄美野生生物保護センター)は5日、奄美市笠利町の笠利公民館で奄美大島のレンタカー事業者を対象に講演会を行った。講師は、屋久島で長年エコツアーの推進活動をしている松本毅さん(屋久島野外活動総合センター代表取締役)。同日はレンタカー事業者及び関係者計14人が参加した。

講演の冒頭では、同事務所の国立公園管理官・早瀬穂奈美さんが、世界自然遺産の定義や登録基準、自然保護の課題について解説。課題としては▽野生生物の輪禍死(ロードキル)▽外来種問題▽希少な動植物の盗採・盗掘▽観光客の増加による環境破壊(オーバーユース)ーを挙げ、「登録後は、観光利用と自然保護の両立が不可欠」と伝えた。

なお、屋久島は、1993年に日本で初めて世界自然遺産に登録された。松本さんは、屋久島の世界自然遺産登録前から現在までの産業、人口推移、自然の開発~保護の歴史を紹介。屋久島が世界自然遺産になったあと、急激な観光客の増加でオーバーユースに陥った経緯も説明した。その上でエコツーリズムの概念や目的を語り、「現地の人が奄美の自然を認識して、誇りをもって観光客を受け入れることが大切。レンタカー業は観光客の窓口的存在として、奄美の魅力や注意点などをじかに伝えてもらえたら」と呼び掛けた。

質疑応答があり、「一般車両の通行が禁止されている金作原原生林のほかに、奄美で通行が規制されている箇所はあるか」との問いに早瀬さんは「ナイトツアーの利用規制を主に、ルールづくりを議論中」と答えた。松本さんは「利用者への注意喚起と利用制限のバランスが大切」などと指摘した。

参加したトヨタレンタリース奄美店の中江直也店長は「観光でレンタカーを利用する方は、ロードキルや希少種の問題を知らない方がほとんど。課題を伝えること、伝え方に難しさも感じるが、お客さまの観光目的に沿った案内をしていきたい」と話した。

なお、同事務所はロードキル防止目的のステッカーとティッシュボックスを、参加したレンタカー事業者らに(保有車の台数分)配布した。