菊次郎翁の功績学ぶ

講師の松村智行さん(左)、オンラインで参加した黒田敏隆さん(手前のパソコン上)の話に聞き入る参加者

「菊次郎すごろくゲーム」を楽しむ児童ら

龍郷町子ども博物学士講座 郷土の偉人の足跡たどる
「みんなのために尽くしすごい」

 「父・西郷隆盛翁の『敬天愛人』の精神を受け継いだ郷土の偉人の足跡たどる」―。第5回龍郷町子ども博物学士講座「西郷菊次郎について学ぼう!」(町教育委員会主催)が11日、町生涯学習センターりゅうがく館講堂で開かれた。龍郷町―さつま町をオンラインで結び開催、講師は松村智行さん(龍郷町教委学芸員)、黒田敏隆さん(さつま町文化財保護審議委員)が務めた。龍郷生まれで名誉町民の西郷菊次郎翁の足跡をたどり、台湾宜蘭県時代(初代の宜蘭庁長)、京都市長時代、永野金山島津鉱業館長時代の功績を学んだ。

 児童41人、未就学児2人、保護者24人、ボランティア参加の高校生5人の合わせて72人が参加した。

 最初に「志塾・西郷塾」メンバーによる紙芝居があり、西郷隆盛、愛加那(於戸間金)、長男・菊次郎、長女・菊草(菊子)の家族4人に関わる物語を分かりやすく紹介した。

 講師の松村さんは▽菊次郎は、1861年生まれ。9歳の時に鹿児島の西郷本家に引き取られ、12歳でアメリカ留学して英語を学んだ。西南戦争に参加して足を負傷、右ひざより下を失った▽日本の領土となった台湾に渡り、36歳の時に宜蘭県の初代庁長(現在の県知事に相当)になり、宜蘭川に堤防を造り洪水を防いだ。反抗する人たち(土匪)を説得して、仕事を与え、堤防工事に協力してもらった▽第2代の京都市長時代は①第2琵琶湖疏水を建設し、多くの水と電気を確保②上水道を整備して衛生面を良くした③道路を広げ、水力発電の電力を利用して電気鉄道を走らせた(3大事業の実施)―などの功績を紹介した。

 永野金山島津鉱業館長時代の功績紹介にはオンラインで講師の黒田さんが参加。「1912年に西郷菊次郎さんが鉱業館(金山の本事務所)の8代目館長として就任し、金山の近代化に貢献」「金山で働く作業員の子弟のために、武道場や夜学校を建設して青少年を育成した。夜学校の成績優秀者には、学費を支給して東京の学校に進学させた」―ことなどを紹介した。

 続いて児童らは、菊次郎翁が生まれてから68歳で他界するまでの人生の出来事を記した「菊次郎すごろくゲーム」を楽しんだ。

 最後は、今夏に公演を計画し、稽古に励んでいる「菊次郎ミュージカル」メンバー13人がダンスを披露、大きな拍手を浴びた。

 森田羽音さん(龍瀬小6年)は「菊次郎さんは親思い。みんなのために堤防を造り、尽くしたことはすごいと思った」と話し、内山智博くん(赤徳小3年)は「西郷隆盛のことは知っていたけど、息子の菊次郎のことは知らなかった。世の中のためにすごいことをした人だと分かった」と感想を話した。