三太郎線ナイトツアー住民説明会

ナイトツアーの車両通行規制ルールについて意見交換する地元住民ら

GWに2回目の車両規制実験へ
WEB予約や両方向通行検討

 環境省は12日夜、奄美市住用町の住用公民館で、昨年11月に同市住用町の市道三太郎線で実施した野生生物を観察するナイトツアー実証実験結果の説明会と意見交換会を開いた。同省は、実験結果やガイド、利用者、住民などから寄せられた意見を集約した上で、WEBサイトを利用した予約制の導入など、新たな利用ルールを採用した2回目の実証実験を、ゴールデンウィーク期間中に行う方針を示した。実証実験のデータなどを基に、利用適正化に向けた共通の利用ルールを作成、今年夏以降にも通年での試行を始める。

 説明会には、同町の住民ら約20人が参加。同省が、昨年11月に実施した実証実験の結果や利用ルールに対するアンケート結果などを公表。ナイトツアーの利用ルールの在り方などについて説明を受けた後、2グループに分かれ、新たなルールなどについて意見交換した。

 実証実験は昨年11月19日~23日の5日間、午後6時~同11時までの間に三太郎線でアマミノクロウサギなどの野生生物の観察を行うツアーガイドや観光客、住民らを対象に実施。メールや電話、ファクスで事前に予約した車両について、15分間隔で通行を許可。1日の利用台数を20台までに制限するなどして行った。

 期間中の通行車両は計76台あり、ガイド車両が41台(54%)、地元車両19台(25%)、レンタカー15台(20%)などが利用。未予約のまま、自粛要請を受け入れず逆走で通行した車両も2台あった。

 アンケートでは、ほとんどの利用者がアマミノクロウサギを観察できたと回答。平均遭遇回数は4・4匹で、10匹確認できた利用者もいるなど、8割以上がツアーに満足していると回答。一方で、ガイドからは、普段のツアーに比べて、「とても不満」「不満」と回答した割合が多く、繁忙期以外の規制に批判的な意見や利用を登録、認定ガイドに限定するよう求める意見もあった。

 結果を受け、同省は再度、通行規制の実験を実施する必要があると判断、ゴールデンウィーク期間中に行うことにした。昨年11月の実験結果や、この日寄せられた住民意見などを参考に、規制時間や通行方向、通行止め区間、事前予約方法などを見直す。前回、一方通行だった通行方法については、両方向から可能にする案や事前予約をWEBサイトで行い、現地での立会いはしない方法などが検討された。

 地元住民からは、道を譲らないガイドのマナーを問題視する意見などがあり、説明会に参加した同町西仲間の紀元若子さん(67)は「利用者と地域住民が協力して貴重な自然環境を守り、観光に生かせるルールが必要。今後も意見交換の場を増やしてもらいたい」などと話した。

 三太郎線は同市住用町の東仲間、西仲間集落を結ぶ道路で、近年はアマミノクロウサギなど希少な野生生物を観察できるナイトツアースポットとして人気となる一方、通行車両にひかれてしまう野生生物が増加するなど環境への影響が懸念されている。