喜界町上嘉鉄集落で発表会

喜界町上嘉鉄集落で発表会

9カ月間に渡る成果を舞台で披露する上嘉鉄集落児童たち(提供写真)

児童の島口狂言に喝采
集落で異なる方言守ろう

 集落の方言に理解を深めようと、喜界町上嘉鉄集落の小学生児童8人は21日、島口による狂言発表会「わらび・はてぃとぅゆみた狂言〝ぶす〟」を同集落のあゆみ幼稚園体育館で開いた。コロナ禍で、家族や親族のみに入場を制限。児童たちは、集落の大切な言葉を守ろうと定番の狂言を島口でコミカルに演じ、見守る客席を沸かせた。

 喜界島言語文化保存会(生島常範代表)が主催し、上嘉鉄ゆみた語ろう会(大友照子代表)が共催。発表会は、集落で異なる方言を地域で受け継ごうと2016年に始まったもので、所作は京都在住の給湯流狂言師・河田全休さんに指導を仰ぎ、16年は早町校区児童、17年は中里集落児童、18年は荒木集落児童と、年ごとに指導する集落を変えている。

 4回目の今回は、コロナ禍で河田さんの来島はわずかだったものの、上嘉鉄集落児童8人はオンライン指導などを通して9カ月間に渡る稽古を重ねてきた。衣装は、河田さんの仲介者でもある愛知県在住で喜界島2世の造形作家・緋月真歩さんが古着を工面するなど、繕った。

 演目の「附子=ぶす=」は、主人が猛毒と偽って隠していた黒糖蜜を2人の使用人が食べたことで始まる愉快なやりとりが笑いを誘うドタバタ劇。児童らは発表がはじまると、堂々とした動きや島口で見得を切るなど、客席からは大きな笑い声が上がっていた。

 発表を終えた児童たちは「(練習を通じて)地元のお年寄りとの会話も増えた」「もっと勉強したい」などの感想も。生島代表は「言葉は無形文化で気づきにくい地域だけの宝。(子どもたちには)これを機に足元の地域にも興味を持って、グローカルな感性を育ててほしい」と話した。