県議会一般質問

大島紬文化財へ組織化検討合意
奄美空港上空での航空機待機 GPS利用で解消見込み

 3月定例県議会は4日、引き続き一般質問があり、同日は宝来良治議員=自民党、鹿児島市・鹿児島郡区=、永井章義議員=自民党、奄美市区=、米丸麻希子議員=自民、姶良市区=、寿肇議員=自民党、大島郡区=が登壇。伝統的工芸品振興で大島紬の文化財指定に向けた取り組みで、技術を保持する団体等の認定が必要となる中、両組合(鹿児島と奄美の県内二つの産地組合)で、保持団体の新たな組織化で検討合意がされたとの報告があった。県教委では速やかに保持団体が設立できるよう助言していく。

 東條広光教育長が答弁。工芸技術の無形文化財指定については、対象となる製作技術の歴史的な価値づけとともに、その技術を保持する団体等の認定が必要となる。東條教育長は「大島紬については一連の製作技術が文化財としての価値を有することが、2018年度の県文化財審議会で認められている」と説明した。

 また、保持団体には大島紬は、いくつかの製作工程がそれぞれの技術者によって担われていることから、東條教育長は「県教委ではこれらを構成員とする団体の設立を県内の二つの産地組合に助言してきたところだが、先月、両組合で傘下の技術者からなる保持団体を新たに組織することについて『前向きに検討する』との合意がなされたところ」と報告。大島紬の歴史的に価値ある技術者の保護のため早期の文化財指定が望ましいとの考えから、速やかに保持団体が設立されるよう必要な助言をしていくとした。

 新型コロナウイルス感染症影響の長期化で売上減少に苦しむ伝統的工芸品製造事業への支援に関する答弁もあった。木場信人PR・観光戦略部長は「緊急支援事業は今後も必要と考えており、この事業で対象となる取り組み(首都圏での展示販売会開催など)に加え、オンラインでの商談・販売活動なども支援できるよう今議会で伝統的工芸品産業需要回復支援事業を提案している」と述べた。

 奄美空港周辺における航空機離発着時の課題について、兒島優一土木部長は「奄美空港の地上無線施設の電波のみを利用する飛行経路が設定されており、(奄美空港に隣接する)喜界空港に着陸する航空機は、奄美空港上空を通過しなければならないことから、奄美空港に離発着機がいる場合、空中待機をすることがある」と説明。航空管制を所管する国において21年度から奄美空港周辺空域でGPSを利用する新たな飛行経路を設定することになっており、兒島部長は「これにより喜界空港に着陸する航空機が奄美空港上空を通過することがなくなり、空中待機が解消される見込み」との見通しを示した。

 奄美空港の保安業務については那覇空港で遠隔で行う予定が報告された。最新の画像処理技術等の導入により奄美空港の管制塔からの視界と同等の滑走路の状況を映像で確認できることから、兒島部長は「安全性が確保されると聞いている」と述べた。

 次期奄振法を見据えた取り組みについて塩田康一知事は「世界自然遺産登録が期待されるところであり、登録を契機に奄美の素晴らしい自然を次ぎの世代に継承する機運をさらに高めるとともに、奄美・沖縄を周遊するルートづくり、1月に全線開通した奄美トレイルや奄美と屋久島の二つの世界自然遺産を活用した魅力の発信により地域資源を生かした観光はじめ経済の活性化が図れるよう努めていく」と答弁した。