住民有志「ナリガユ」ふるまう

アク抜きしたソテツの実を砕く作業をする有志ら

どぅくさ会で完成したナリガユを味わう会員ら

「懐かしい」口々に 龍郷町嘉渡

 龍郷町嘉渡集落の住民有志は9日、ソテツの実を加工したお粥「ナリガユ」を作り、地域住民約20人にふるまった。嘉渡カトリック教会にあるソテツの実(ナリ)を今冬収穫し、作り方を知る住民に加工方法を聞き取りこしらえた。同日は口々に「懐かしい」「これで命をつないだ」と話しながら味わっていた。

 有志らによると、収穫したナリは専用の機械を使って半分に割り、3日間天日干し。その後、有毒物質のサイカシンをアク抜きするため、1日2回水を変えながら10日間水に漬けた後、天日干しと浸水を数回繰り返し、暗所で3日間寝かせる。その後再度天日干しを終えたら、最後の水洗いをして石臼=うす=で粉状にするという。「アク抜きがあまいと独特のにおいがして美味しくない」と話す。

 今回はナリガユに慣れない人でも食べやすいように、ナリの粉に米粉を少量混ぜ、炊いた白米粥に投入する形で提供した。

 同日は月に2度のサロン活動「どぅくさ会」(牧重和会長、会員25人)で振る舞われた。終戦後に食べていたという男性は「懐かしい。当時は米がなかったから、ナリのみで食べていた。『どぅがき(ナリの実)』は命の恩人のよう」と語りながら味わった。

 なお同日は、龍南中学校の生徒2人が龍郷町役場の職場体験で同会に訪れていた。勝田千尋さん(2年)は「給食で食べたことがあるが、あまり慣れない味。今ちゃんと食べられることのありがたさを感じた」と感想を話した。