介護事業所も対象に

ワクチン優先接種 奄美大島5市町村に要望書
介護事業所協議会

 奄美大島介護事業所協議会(盛谷一郎会長)は10日、奄美大島5市町村に対し、新型コロナウイルスワクチンの優先接種対象者の範囲拡大を求める要望書を提出した。ワクチン接種については現在、医療従事者や高齢者施設従事者らを優先して行うことになっているが、要望書では、同協議会に加盟している島内の居宅介護サービス事業者についても、優先接種できる体制の構築を求めている。

 県がこれまでに示している新型コロナのワクチンの優先接種の対象となっているのは、県内の医療従事者や高齢者施設従事者ら約7万5000人で、うち奄美大島及び喜界島は約3000人。居宅介護サービスなどを行っている介護事業所は対象に含まれていない。

 一方、厚労省は3日、市町村の判断によって、自宅療養を余儀なくされる高齢の患者や濃厚接触者に直接接し、介護サービスの提供等を行う意向のある居宅サービス事業所等について、「(優先接種の)対象に含むことができる」などと通知。鹿児島県も優先接種の対象となっている高齢者施設の従事者に居宅介護事業所サービス事業者の従事者を含める場合の取り扱いについて、地域の感染状況、医療提供体制を踏まえ、居宅介護サービス事業者が自宅療養中の高齢感染者への介護サービスを提供する意向を市町村に登録した場合、市町村が県と相談した上で、優先接種の対象に加えることを検討することなどを通知している。

 こうした状況から、同協議会は要望書で、「医療提供体制が十分でない離島では、クラスター(感染者集団)が発生した場合には医療体制がひっ迫、要介護高齢者でも在宅療養を余儀なくされる可能性がある」などとし、「居宅介護事業所が希望した場合、ワクチンを優先接種できるよう手続きを進めていただきたい」などと、各自治体に要望した。

 奄美群島ではこれまでに、新型コロナウイルスのワクチンが、奄美市と徳之島町の徳之島徳洲会病院に各1箱(975回分)ずつ配備されたが、対象となる医療従事者約4600人に、行き渡る量の確保の見通しは立っていない。

 奄美市健康増進課は「国や県の通知は承知しており、離島医療体制における介護事業者の重要性も認識している」と、同協議会の要望に理解を示しながらも、2月以降、島内での感染者が確認されていないことや、国から供給されるワクチンがまだ限定的であることなどから、「県や医師会と連携をとりながら、まずは、医療従事者の接種が円滑に進むようにしたい」としている。