伊仙町「いせん寺子屋」潮だまり生き物観察会

伊仙町喜念浜海岸であった「潮だまりの生き物」観察会(いせん寺子屋シリーズ)=14日

自然保護「まず知ることから」

 【徳之島】伊仙町教育委員会(社会教育課)主催の地元学「いせん寺子屋」の2020年度最終講座が14日、「潮だまりをのぞいて生き物をみるぞ!」をテーマに、同町喜念浜海岸(奄美群島国立公園)であった。町内外から家族連れなど約30人が参加。海洋生物に詳しい同町地域おこし協力隊の案内で、サンゴ礁が育む海の生物多様性にふれた。

 人材育成への「地元学」やキャリア教育を中心に5年目の今年度シリーズ(全10回)の最終講座。講師は、九十九島水族館海きらら(長崎県佐世保市)の元学芸員で、同町子育て支援課地域おこし協力隊の西村奈美子さん(54)が務めた。

 西村さんはまず、「絶対に素手で触ってはいけない生き物」としてオニヒトデやヒョウモンダコ、ウツボなど海の危険生物を写真で解説して注意を喚起。午後1時すぎの干潮(大潮)に合わせて、喜念浜のまばゆい白砂と礁池のエメラルドグリーンとの美しいグラデーションに続く造礁サンゴの海岸を散策した。

 参加者たちは、礁池に生きるナマコやクモヒトデ、サンゴのすき間に身を隠していた生き物を見つけては次々と挙手。西村さんは「ナマコは心臓も血液もなく海水を循環。砂とともに砂に付いた有機物(栄養分)を食べ、白くてきれいな砂を排せつ。白い砂や砂浜は人間には作れません」など解説。思い思いに集めた貝類の名づけ・解説タイムもあった。

 いせん寺子屋「地元学」シリーズに参加を続けている徳之島町の主婦常山京子さん(66)=宮城県出身=は「島に嫁いで45年だが、新たな発見ばかりです。孫たちも海が好きなので、一緒に海に来て今日学んだことを教えてあげたい」とにっこり。

 西村さんは「海岸には、普段は注目をしない多くの生き物たちがいて生態系のバランスが取れていることを感じて欲しい。最終的にはこの海の自然環境を大切に守っていくことだが、まずは知ることが大事です」と話していた。