高濃度エタノールスプレー共同開発

高濃度エタノールスプレーを受け取った大和村社協の和泉事務局長(中央)と、近畿大学付属農場長の重岡特任教授(右)、奄美大島開運酒造の渡代表取締役

近大と開運酒造 近大農場の柑橘12種×「れんと」
南部3市町村社協に寄贈

近畿大学(大阪府)と㈱奄美大島開運酒造(渡慶彦代表取締役)はこのほど、消毒用高濃度エタノールスプレー「近ピカ」を共同開発した。同酒造商品「れんと」の原酒を再蒸留した高濃度エタノールを、近畿大学付属農場(和歌山県)産の柑橘=かんきつ=12種で香り付けしたもの。昨年7月から開発を始め、30㍉㍑のスプレーを計1500本製造。一般販売は予定しておらず、全て宇検村、瀬戸内町、大和村の社会福祉協議会へ寄贈される。26日には奄美市名瀬の奄美観光ホテルで商品説明と寄贈式が行われた。

共同開発は、近畿大学が2020年5月から取り組んでいる社会貢献活動「“オール近大”新型コロナウイルス感染症対策支援プロジェクト」の一環。研究費に1億3000万円を投じ、総合大学から附属学校や研究所など、分野ごとの知見を生かした感染症対策を進めている。今回は渡代表が同大学出身者であることなどから実現した。

同日は重岡成特任教授(近畿大学付属農場長)を始めとした関係者や同酒造関係者が出席し、3町村社協を代表して大和村社会福祉協議会の和泉美智範事務局長に完成品が手渡された。

同商品には、「れんと」を基にしたアルコール度数66%の高濃度エタノールに、同農場で栽培されている200種類の柑橘類(摘果果実)の中から選ばれ抽出された12種の精油をブレンド。「近大みかん」と呼ばれるウンシュウミカンをメインに、和歌山県が名産の柑橘類などを添加しており、同農場湯浅農場講師の伊藤仁久氏は「清涼感を意識して、柑橘のフレーバーを採用。黒糖焼酎の香りと調和し、農場のある和歌山県にまつわる品種を中心に厳選した」などとこだわりを語った。なお、パッケージデザインも両者のイメージカラーや清潔感を意識し、同大学の文芸学部芸術学科造形芸術専攻の学生が担当している。

渡代表は「酒造会社として奄美に貢献するため、昨年製造した商品がきっかけだった。プロジェクトに関わることができ感謝。これからも奄美大島発の付加価値の高い商品を作り続けたい」と意気込んだ。

和泉事務局長は「寄贈は大変ありがたい。スプレータイプであることから、手軽に使えて即戦力になる。大和村社協では介護施設の職員や利用者に配布する予定」と話した。