ワクチン接種 看護師対応に研修

注射器で実技演習も
「感染予防と同時並行で」

 新型コロナウイルスのワクチン接種が来月3日から奄美市と龍郷町で開始される。奄美市と大島郡医師会は9日夜、市役所5階会議室で、接種業務にあたる看護師を対象に研修会を行った。集団接種を安全かつ円滑に進めることが目的。参加した看護師は約40人。参加者らは集団接種会場での業務の流れを確認し、実際の注射器を用いてワクチン接種の実技講習を行った。

 コロナワクチンの接種会場となるのは奄美ワクチンセンター(奄美文化センター)。接種は完全予約制。被接種者は受付後問診を受け、ワクチン接種。その後15分から30分経過観察のため待機する。

 講習会では前半、市健康増進課の勢田幸子さん(50)が当日の流れや会場の詳細について説明。当日の看護師の業務内容は▽予診票記入▽筋肉注射▽ワクチン希釈、シリンジへの充填作業―この他にも受付や接種券返却、接種後の経過観察、アナフィラキシー反応の症状が出た場合の救急対応等がある。

 勢田さんによると、1日あたりの接種人数は約240人。2レーンに分けて接種を行い、30分で10人に接種を行う計算という。

 後半は大島郡医師会救急担当理事コロナ班の野崎義弘班長、同予防接種担当の岩城陽一理事、県立大島病院救命救急センター・高間辰雄センター長の指導の下、ワクチンの扱い方や急変対応について演習。参加者らはグループに分かれ、接種部位や目線、姿勢などを確認しながら人形を被接種者に見立て、ワクチン接種を練習した。

 野崎班長によると、コロナウイルスワクチンによるアナフィラキシーショックの報告は100万回に4件。死者はゼロ。しかし、ちまたに情報があふれすぎているため被接種者は不安を抱えていると話し、「正確な情報を医療従事者が伝え、被接種者の不安を取り除くよう対応を」と呼び掛けた。

 研修会に参加した中里悦子さん(66)は「コロナワクチンは他のワクチンと扱い方や接種の方法が微妙に違うので、初心にかえったような気持ちで講習を受けた。ニュースなどで副反応のことが取り上げられ不安になっている方も多いと思うが、ワクチンを打つことはとても大事なので、被接種者に安心していただけるような対応を心がけたい」と話した。

 市健康増進課の徳永明子課長は「奄美市内は人の往来が多く、感染リスクも高まっている。感染対策をしながらワクチン接種を進めることで、人命を守るとともに医療機関のサポートをしていきたい」と述べ、接種対象者に対して「接種券とともにチラシが送付されるので、よく読んで検討していただき、安心して接種に来ていただきたい」と呼び掛けた。

 1回目集団接種会場は5月3日から16日まで奄美ワクチンセンター、17日から19日まで笠利町太陽が丘総合体育館、20日から22日まで龍郷町りゅうがく館、23日は住用町・奄美体験交流館。