新型コロナワクチンの集団接種の流れを確認した奄美市と龍郷町の予行演習
奄美市と龍郷町は14日、65歳以上の高齢者を対象とした新型コロナウイルスワクチンの接種会場となる同市名瀬の奄美文化センター(奄美ワクチンセンター)で、接種手順などを確認する予行演習を行った。医師や看護師、行政職員ら約60人と高齢者役の職員30人が参加。予診票の確認から問診、接種、経過観察までの一連の流れを確認、急変患者が出たことを想定した救急搬送訓練も実施。5月3日から始まる集団接種本番に備えた。
予行演習は、接種開始を前に、担当者らがそれぞれの役割や予定の手順に不備がないかなどをチェックすることなどが目的。午後2時に始まった演習では、職員30人が高齢者役となって、持病のある人や車いすの高齢者なども想定、体調に問題がないかなどを確認しながら約1時間20分ほどかけて、接種までの一連の作業を確認した。
集団接種は完全予約制となっており、会場では①受付②予診票の確認③医師による問診④ワクチン接種⑤15~30分の経過観察の流れで進むことになっている。予診票の確認では、忘れたり記入漏れがあることなども想定、口頭で聞き取りを行うなどの作業も行った。問診では医師2人が対応、健康状態などを確認後、看護師がワクチンを接種。演習中には、予診票に体温の記入がないことに気付いた医師から、チェックを受ける場面もあった。
参加した看護師の女性は「高齢者ということもあり、体調不良を訴える人が出てくる可能性も高い。初めての経験なので不安もあるが、しっかりと対応できるよう心掛けたい」と話し、別の看護師の女性は「看護師同士の意思疎通など、まだまだ不足している部分も実感した。情報共有などをしっかりして、高齢者が不安を感じないよう対応したい」と話した。
予行演習後は、県立大島病院救命救急センター長の髙間辰雄医師や大島地区消防組合も参加した救急搬送訓練を実施。アナフィラキシーショックや熱中症などの患者が発生したことを想定、救命措置などの対応も確認した。
高間医師は「高齢者が数千人も集まる接種会場では、持病の悪化や転倒事故など様々なトラブルが発生しうる。患者の症状などをしっかりと確認し、医師や救急救命士につなげることが大切。一番大事なのは高齢者の不安を低減させること」などと話し、ワクチン接種の副反応として懸念されるアナフィラキシーの発症頻度が極めて少ないことなども説明した。
奄美市の山下能久保健福祉部長は「想定よりも若干時間がかかっていたように思う。今回の演習で見つかった課題を解決し、5月3日の接種開始時にはよりスムーズな対応が行えるようにしたい」と話した。
両市町は、5月3日~同23日に1回目、同24日~6月13日に2回目のワクチン接種を行う予定で、今月19日から電話やインターネットの予約サイト、無料通信アプリ「LINE(ライン)」による受付を開始する。
ワクチン接種に関する問い合わせは同推進室(電話0997―69―3747)、接種予約に関する問い合わせは専用コールセンター(電話0997―52―1479、祝日除く月~金曜の午前8時半~午後6時まで)へ。