一村美術館「花鳥風月と人の暮らし展」開幕

田中一村のオマージュなど42作品を展示した企画展「奄美の花鳥風月と人々の暮らし~田中一村へのオマージュ」


合作の襖絵を前に(左から)永瀬さん、小田島さん、青木さん

三者三様の奄美表現
一村オマージュ作品など42点

 奄美在住9年目の画家やアーティスト3人による初の企画展「KA/CHO/FU/GETSU・奄美の花鳥風月と人々の暮らし~田中一村へのオマージュ」が23日、奄美市笠利町の県奄美パーク・田中一村記念美術館で始まった。会場には、島に魅せられた作品42点が一堂に展示され、独自の視点や新たな世界観で奄美を表現。来館者の目を楽しませている。5月14日まで。

 出展したのは、透明水彩画家・永瀬哲治さん(島根県出身)、画家・青木薫さん(新潟県出身)、アーティスト・小田島文顕さん(千葉県出身)の3人。ともに2012年に島に移住。奄美を拠点に活動している。

 今回のテーマは「南島の自然と人々の営み」。個々の作家たちが思い描く「奄美」が三者三様に表現されている。

 永瀬さんは奄美の画家・田中一村をオマージュし、独自に昇華させた水彩画など計30点を展示。青木さんは、島の人の奥底に潜む伝統・死生観を風景画などに絵に忍ばせ、モノクローム風の油絵10点に思いを込めた。小田島さんは光と音のアートで、島の自然の秩序など「見えない所にある豊かさ」を表現。来館者らも「一村みたいで、細かな所まで楽しめる」と驚いている。

 3人が口をそろえるのは、奄美を肌で感じ、納得する世界観に落とし込むまでかなりの時間を費やしたこと。「単にきれいに、文化や自然をと描いたわけではない。精神性などを含めて奥深さを感じてほしい」と多くの来場を呼び掛けている。

 開館時間は午前9時~午後6時までで、入場無料。4月25日(午後4時半)、5月12日(午前11時と午後4時半)には作品と踊りの融合「大人対話・パフォーマンスワークショップ」なども予定している。