「活気戻りはじめた矢先に」

人通りがまばらな夜の屋仁川通り

市内クラスター受け 名瀬繁華街
飲食店以外の業者にも危機感

 奄美市内で初の新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生したことに伴い市内名瀬の繁華街では30日、危機感を募らせる声が相次いだ。1年以上続く「コロナ不況」。一向に先が見えない中、飲食店以外の業者からも「活気が戻りはじめた矢先に」と悲痛な声が漏れる。市民からは「我慢するしかない」との声も聞こえてくる。

 同繁華街で複数の飲食店や居酒屋を経営する男性代表は4月8日の感染確認以降、売り上げは「かなり落ち込んだ」と語る。新型コロナウイルス拡大の影響で、売り上げは例年の半分以下に。昼間には昨春から開始した弁当のテイクアウトでつなぎ、観光客を中心に客足も戻りつつあっただけに「人件費もひっ迫し、これ以上は厳しい」。行政には「自粛や時短要請に応じてきたが対策がついてこない。もっと現場の声を聞きにきてほしい」と窮状を訴えた。

 屋仁川通りで米・酒販売店を営む65歳女性も「活気も戻ってきて喜んでいた矢先に」と肩を落とす。昨春以降は酒類の販売が大きく減少し、米の配達と貯蓄で店を何とか支えてきた。新たな動き(方針転換)も考えはしたが、元に戻った時に本業がおろそかになれば顧客にも迷惑が掛かる。「新しい動きも取りにくくじっと(回復を)待つしかできない状況。この間まで〝よかったね〟と話していたのに、こんなことになるとは」と嘆いた。

 一方、ある小売店の女性従業員は飲食業以外の店舗が影響を受けていることも強調。「ここ2週間は街に人がいなくなった。飲食店の状況は理解しているが、(行政には)もっと他の業者にも目を向けてほしい」と話した。

 公園で談笑していた70代男性は、連休期間は「家飲み」で過ごすという。「感染して自分が悪者になりたくない。行きつけの店もあるが今は我慢するしかない」。同席した別の70代男性も「わずかな楽しみだが仕方がない。ずるずる拡大させないためにも今は控えたい」。それぞれに笑顔は少なく、疲弊の色は濃い。