大島逃げ切り8強へ

【2回戦・大島―鹿児島南】5回表大島一死一二塁、4番・田尾が中前適時打を放ち、6点目=鴨池市民

NHK旗第3日

 【鹿児島】第63回NHK旗争奪鹿児島県選抜高校野球大会第3日は19日、鹿児島市の平和リース、鴨池市民、両球場で2回戦4試合があった。

 奄美勢の大島が鹿児島南と対戦。二回に逆転を許したが直後の三回表に4番・田尾の左前適時打で同点に追いつく。四回は押出し、暴投、エラーで3点を勝ち越し、更には4番・田尾、5番・瀧の連続適時打も飛び出し、打者10人で5点のビッグイニングを作った。その裏2点を返されたが、五回以降リリーフした2番手・前山が無失点で切り抜け、3点差で逃げ切り8強入りを決めた。

 第4日は22日、平和リース球場で準々決勝2試合がある。

 試合結果は次の通り。

=市民球場=

◇2回戦第2試合

大島
101500000 7
020200000 4
鹿児島南

【大】大野、前山―安田
【鹿南】横手、中島、吉松、児之原―竹内、本村
▽二塁打 田尾、武田、嶽崎(大)竹内、徳留(鹿南) 

好リリーフで勝利引き寄せる
大島・前山

 大島は2番手で登板した前山龍之助=写真=が五回以降を無失点で投げ抜き、勝利を手繰り寄せた。「夏に向けて自信になった」と力強く振り返った。

 四回までに7点取ったが、走塁ミス、けん制タッチアウトなど拙攻で畳みかけられなかった。中盤以降も好機は再三作りながら追加点ならず、計14残塁を喫した。大黒柱のエース大野は5四球と制球が定まらず4失点。投打ともに本来の持ち味を発揮しきれず、リードはしていても重苦しさの漂う展開の中で、塗木監督は2年生右腕に五回以降を託した。

 「早い回からブルペンで投げ込み、肩を作っていた」と前山。チームの浮沈を左右する重圧がかかるマウンドだったが「周りが守ってくれると信じ、自分が崩れても大野がまだ投げられる」と気負わずリラックスして自分らしい投球を心掛けた。

 生命線はスライダー。カウントを稼ぐときはスピードを殺して曲がりを大きく、相手が変化球を狙っているときはスピードをつけ曲がりを小さくボールゾーンに。スライダーの緩急を巧みに使い分け、相手打線に的を絞らせなかった。九回まで5イニングを投げ、被安打3、8三振を奪い三塁を踏ませない上々の投球内容だった。

 大島が夏を制するためには、大野に続く2番手投手の台頭が欠かせない。前山が重圧のかかる場面で好リリーフできたのは、チームにとっても貴重な財産になった。チームの期待に応えた前山は「強豪私学が相手でも使ってもらえるような信頼を得るために、もっと力をつけたい」と意欲を燃やしていた。
(政純一郎)