大人の世界自然遺産講座

指導者の案内で、動植物を観察しながら山道を歩いた

絶景のミヨチョン岳で、昼食をとる参加者

自生地の岩場で開花する「ウケユリ」

請島の国立公園でフィールドワーク、希少動植物理解
瀬戸内町 幻の花「ウケユリ」観察も

 瀬戸内町は30日、2021年度1回目の大人の世界自然遺産講座を請島で開いた。今回は開講以来初のフィールドワークとして幻の花と呼ばれる「ウケユリ」観察と、奄美群島国立公園第2種に指定されている「大山」のミヨチョン岳(標高356㍍)トレッキングを実施。参加者17人は、指導者の案内を受けながら山道を探索。請島ならではの自然に親しみ、希少動植物へ理解を深めた。

 大山への立ち入りは町の規則で、大山の希少種保全と観光案内を行う有志団体「みのり会」会員の同行が義務付けられている。この日は、同会の益岡一富会長ら4人の会員が同行したほか、町内で活動する自然保護推進員の國宗弓穂さん、県希少動植物保護推進員の供利義也さんらが指導にあたった。

 ウケユリは、環境省の絶滅危惧IA類に指定。同会の案内でウケユリの自生地へ行くと、ピーク前にも関わらず複数の開花を確認した。参加者は、岩場の高所に自生する純白の姿をじっくりと観察していた。

 ミヨチョン岳へ続く山道では、指導者が参加者に動植物の案内をしながら登山。國宗さんは、「スダジイ(ブナ科シイ属)が老木になり、根元が空洞になった部分にたまる腐葉土は、国内希少野生動植物の『ウケジママルバネクワガタ』の産卵床。盗掘などで腐葉土がかきだされると木も枯れてしまう。管理し、守っていくことが大切」などと説明。参加者は熱心に耳を傾けた。

 目的地のミヨチョン岳では、記念撮影したり、昼食をとったりして絶景を満喫。ぬかるんだ山道に足を取られないように慎重に下山した。

 同町加計呂麻島から参加した川口明美さん(38)は「アカヒゲの声を聞きながらトレッキングを満喫した。きょう学んだことを振り返り、これからは身近にある希少種に気を配ってみたい」と感想を話した。

 なお、同日は環境省職員2人も同行。フィールドワークの前には、同島の池地集落集会所で、環境省国立公園保護管理企画官・山根篤大さんが「世界自然遺産について」講話。世界自然遺産の定義や、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」に対するIUCNの勧告内容や指摘事項などを確認したうえで、住民が自然を守る意識を高める必要性を伝えた。