県立病院20年度決算見込

 

大島病院赤字額2億5900万円に拡大
病床利用率低下 受診控えなどコロナ影響も

県立病院局は31日、2020年度病院事業特別会計決算(見込)を発表した。県立5病院全体の経常収支および資金収支はいずれも黒字(経常12年連続、資金は実質15年連続)となったが、このうち大島病院の経常収支は前年度比7千万円減少、赤字額は2億5900万円(19年度は1億8900万円の赤字)に拡大した。同病院の病床利用率は前年度を2・1ポイント下回る75・4%となった。課題では新型コロナウイルス感染症への対応などがある。

5病院全体の経常収支は約5億6100万円(前年度比2億500万円増)の黒字、資金収支は約6億600万円(同4200万円増)の黒字。同局は「地方公営企業法を全部適用した06年度以降、職員一丸となってさまざまな経営改善方策に取り組んできた結果」としている。

収益・費用の増減をみると、総収益は200億2300万円(前年度比3億5千万円増)。診療収益については、入院収益、外来収益ともに、患者数の減などにより大幅に減収(同11億7千万円減)となったが、新型コロナ感染症対応に対する補助などにより、「結果として総収益は増加している」(県立病院局)。

総費用は194億7300万円(前年度比1億5600万円増)。給与費が会計年度任用職員制度の開始などにより2億9800万円増加する一方、材料費は患者数の減などで3億900万円の減となった。

今後の課題として新型コロナ対応のほか、▽診療報酬の改定や深刻な医師・看護師不足▽診療圏人口の著しい減少―などを挙げており、対策では「『第二次中期事業計画』に基づいて、県立病院としての役割を担いながら、引き続き医療機能の充実・強化や経営のさらなる安定化を図る」を掲げている。

大島病院の収支をみると、総収益76億700万円(前年度比1億1800万円減)、総費用78億6600万円(同4800万円減)で、収益の大幅減により赤字額が膨らんだ。収益でコロナ対応分は1億6800万円を計上している。総費用は78億6600万円(同4800万円減)で、経費(同9700万円減)などの抑制で縮小した。資金収支は、前年度は1100万円の黒字だったが、2億2600万円の大幅赤字に転落した。

同病院の病床数は269床で前年度比46床減少。1日当たり患者数は、入院205・8人(前年度比38・2人減)、外来436・0人(同48・7人減)といずれも減少した。診療単価は入院5万4244円(前年度比5295円増)、外来1万3875円(同738円増)といずれも増加した。

大島病院の経常収支の悪化、病床利用率の低下について県立病院課の久保博一課長は「受診控えなど新型コロナの影響が推測されるが、マスク着用や手洗いなど予防策によりインフルエンザなど感染症全体の患者数の減少もある。入院の減少では新型コロナの受け入れでゾーニング(病棟の区分け)により、(コロナ以外患者の受け入れ)病棟の抑制も関係している」と説明。資金収支の大幅な赤字は、4条収支の赤字(前年度赤字6900万円→2億1100万円の赤字に拡大)によるもので、高額医療機器のリニアック(高エネルギー放射線治療装置)購入などが影響している。

なお、病院別で経常収支の赤字は、大島以外では北薩(1億3600万円)で、2病院の赤字額の比較では大島が最大だった。