小玉傾向、管理不足影響

大和村湯湾釜のJA選果場に持ち込まれているスモモ。全体的に小玉傾向にあり、樹勢回復に向けた肥培管理が課題となっている

大和村スモモ
樹勢回復へ「6月中にお礼肥料を」

 特産果樹スモモの主要産地・大和村ではJAの選果場が稼働し、集出荷が始まっているが、生果用として高値取引される2Lサイズ中心ではなく、Lサイズ中心と全体的に小玉傾向にある。これまでの記録的な不作から管理不足が影響していると見られており、JAあまみ大島事業本部は生産安定につながる樹勢回復に向けて今月中の「お礼肥料(夏肥料)」投入を呼びかけている。

 同村湯湾釜にある選果場は先月29日から稼働開始、生産者が収穫したスモモを入れたサンテナ(果実を収納する箱)が持ち込まれている。果実が次々と選果機に運ばれ選別作業が行われているが、2Lや3Lといった大玉もあるものの、全体的にはLやMといった小玉が目立つ。

 「冬場の寒など気象条件は平年並みで開花状態は良好だったが、生産量を左右する着果期に入り、果実のつき具合で量が多い園と少ない園の差が顕著。収穫されても果実サイズが小粒でL中心となっているのは、前年度の管理作業が影響している。昨年は量が非常に少ない不作だったことから、施肥や防除といった肥培管理が徹底されなかったのではないか。施肥不足は葉の色の薄さにも表れていた」。同本部果樹技術指導員の大山綱治さんは指摘する。農家の管理作業に必要な肥料などの助成に村は取り組んでいるものの、十分に活用されず倉庫などに保管されたままになっていた園も見られたという。

 果実がしぼみ出荷できない黒斑病被害も発生。薬剤などを使っての防除不足により越冬菌密度が高かったため。黒斑病は春先から出始め、木自体で保菌することから葉、新梢、枝、果実と全体的に被害(り病)を受ける。菌を排除するにはり病している枝を取り除き、果実も園内に放置せず園外に持ち出さなければならない。

 大山さんは「樹勢回復、来年以降の生産安定に向けて収穫後すぐに管理作業に取り組む必要がある」として、肥料の投入時期を「収穫8割の時点を目安に今月中で終えてほしい。7月に持ち越してはならない」と呼びかける。6月に「お礼肥料」をきちんと施すことで体力が回復するという。その後の施肥時期は11~2月の冬場(元肥投入)となる。

 選果場での受け入れのピークは来週になる見通し。JAの共販計画は全体で15㌧、大和村で12・4㌧としている。村産業振興課は村内の生産量について20~30㌧を見込んでおり、共販量の伸びも期待されている。