県共生・共働の農村づくり運動「農村集落部門」表彰に輝いた手々集落表彰式(中央・稲区長)=4日、徳之島町
過疎化・担い手不足に苦慮しつつ伝統を守っている「ムチタボリ」(資料写真)
【徳之島】2020年度「鹿児島県共生・共働の農村(むら)づくり運動」知事表彰の農村集落部門に、徳之島町手々集落(稲繁二区長、59世帯・101人)が輝き4日、手々保健福祉館で授賞式があった。少子高齢・過疎化が進む中、伝統行事や農業振興、小・中学校との連携など共同活動を高く評価。表彰を弾みに新たな意欲も紹介した。
手々集落は同町の最北端に位置。20年度中の農家戸数約50戸、65歳以上人口56人、16歳未満同14人と少子高齢化が著しい典型的な過疎集落の一つ。
だが、人口減や高齢化など厳しい課題を抱えつつも、①集落住民の共同活動による荒廃農地の発生防止と解消②イノシシ侵入防止柵の設置や狩猟免許の取得・わなの設置など集落一丸となった野生鳥獣からの農作物被害防止③手々小・中学校と連携した「ふるさと留学生」の受け入れや学校行事への参加④町無形民俗文化財「ムチタボリ」の継承(推薦理由)―などに地道に取り組んできた。
20年度表彰の農村集落部門は早馬集落営農組合(南大隅町)との2団体、功労者部門に2人。例年だと県庁で表彰式を開いている。新型コロナウイルス感染症対策のため、手々集落には県大島支庁徳之島事務所(赤崎久一所長)を通じての表彰式に。
手々集落の稲区長(67)は受賞者代表あいさつで「過疎高齢化によって、ムチタボリもなかなか人数が集まらず(出身者を)島内からかき集めて、子どもたちの協力も得てなんとか維持できているのが現状」とも吐露。一方で昨年はサトウキビの約3割がイノシシ食害を受けて泣かされたが、町の侵入防止柵資材助成と約80人のボランティアによる延長約8㌔の設置も報告。
そして県知事表彰を弾みに今後は、青年部による模擬闘牛場の設置や、「漁なぐさみ」(伝統の魚介類なべ料理)提供などを通じた新たな集落活性化取り組みへの意欲も紹介した。