緊急時供血者登録制度

「奄美大島緊急時供血登録制度」登録者数

奄美大島地区昨年度の活用は2件 登録を呼びかけ

 奄美大島地区緊急時供血者登録制度連絡協議会はこのほど、2020年度の活動報告をまとめた。同会によると、同年の登録者数は667人で、制度利用事例は2件。同会は各献血会場で緊急時供血者の登録を呼びかけている。

 緊急時供血者登録制度とは、緊急時に病院で採血をする制度のこと。奄美大島地区内の各病院では通常、輸血が必要となった場合に備えて県赤十字センターから血液製剤を購入し保管している。しかし、在庫がなくなった日の夜間に大量の血液製剤が必要となった場合や、天候不良などで県から取り寄せることが難しいといった状況に備え、事前に供血協力者を登録している。運用が開始された2006年から2021年4月1日現在までに同制度が活用されたのは25件。

 登録要件は▽過去3年以内に献血をしている▽血液センターの献血基準を満たしている▽緊急時に病院に駆け付けられる―の3点。登録受付は各献血会場で行っている。

 昨年度、同制度が活用された事案は2件。

 1件目は昨年8月、奄美市名瀬の男性が急性硬膜下血腫に伴う緊急手術を実施した際、4人分の献血量が必要となった。大島地区消防組合から登録者へ連絡が行き、男性は一命を取り留めた。

 2件目は昨年10月、奄美市名瀬の女性の分娩の際に登録者2人に連絡があった。出血量が少量だったため、採血には至らず女性も無事だった。

 名瀬保健所衛生・環境室の宮川俊介技術主査によると、「県内全ての離島で同制度が運用されているわけではない」という。

 同協議会は引き続き、献血会場などで同制度の周知を行っていくとしている。