松橋さん木元さん写真絵本出版

出版した写真絵本を手にする松橋さん(左)と木元さん

写真絵本『奄美の道で生きものみーつけた』

道で生きものに出会おう観察はゆっくりと
写真展7月中旬まで 野生生物保護センター

 奄美大島の各地で生きもの調査や環境教育を行う奄美海洋生物研究会の調査員木元優菜さん(30)=奄美市奈瀬在住=と、同島各地でカエルなどの生きもの撮影に通っている生きものカメラマンの松橋利光さん(51)=神奈川県在住=がこのほど、新たな写真絵本『奄美の道で生きものみーつけた』(新日本出版社)を出版した。二人で組んでの出版は、今回が3冊目になる。

 これまでに二人で出版したのは『奄美の空にコウモリとんだ』『奄美の森でカエルがないた』の2冊(ともにアリス館)。二人は7年前、お互い生きものが好きということで意気投合。松橋さんは水族館・出版社勤務ののちフリーカメラマンに転身。生きもののナマの動きや表情を大事に撮っており、年に5~6回は奄美に通っている。木元さんが環境省のアクティブレンジャーとして来島し、コウモリ調査をするようになったことに興味を持ち、一緒に絵本を作ることになったという。

 今回の『奄美の道で生きものみーつけた』では、希少種も含めた、奄美の道で見られる生きものを取り上げている。動物が道に出てくる理由はさまざま。餌を探しにくる、フンをする、森から森へ移動する、繁殖行動もみられるなど、道は生活場所の一部となっている。

 木元さんは「まずは生きものとの出会いを楽しんでほしい。人にとって身近な道でこれだけいろんな生きものに出会えることを知ってほしい。道は大事な観察の場所」だという。全国で活動する松橋さんも「道で、簡単にこれだけ多くの生きものに出会える奄美は特別。他の地域とレベルが違う。保護活動がかなりうまくいっているのだと思う。奄美の森のすごさ、楽しみ方を知ってほしい」と語る。

 これだけ道に生きものが出るということは、交通事故もよく起こるということ。木元さんはアマミノクロウサギの事故にも出くわしたことがある。「生きものの存在に気づくことができれば、事故も減らせるのではないか」。

 観察を楽しむには、歩く程度、いつでも止まれるくらいの速さを心がけることが大事。ゆっくり走ることは事故回避だけでなく、観察にとってもよい。もう一歩進んだ行動が見られ、カエルがミミズを食べている様子もわかるという。

 奄美の生きもののすごさをいちばん知ってほしいのは、「奄美の子どもたち」。こんなすごいところに住んでいることを知ってほしいので、同島の小中学校全てに1冊ずつ寄贈する。「本は大人が積極的に見せる努力をしないと、なかなかたどり着いてくれないので。子どもたちの反応を聞けるのが楽しみ」と松橋さんは笑顔で語った。

 定価1500円(税別)で全国主要書店やオンラインで販売されている。問い合わせは電話03・3423・8402新日本出版社まで。

 なお、大和村の奄美野生生物保護センター企画展示室で、松橋さんの写真展「奄美の森の生きものたち」が7月中旬ごろまで開催されている。入場無料。カエル、野鳥、ネズミ、アマミノクロウサギなど奄美の森の生きものを約50点、本にちなんだ作品も展示される。7月20日から奄美空港でも行う。