奄美空港 密猟・密輸対策研修会

密猟・密輸防止について話を聞く参加者たち

希少種持ち出し水際で防止へ

 奄美市笠利町の奄美空港で21日、「希少野生生物の密猟・密輸対策に関する研修会」が開かれた。航空3社、保安警備会社、空港ビル、空港管理事務所、空港警察ら約20人が参加。世界自然遺産登録を目前にし、これまで以上に希少野生生物の保全に取り組む必要があることから実施。法律や条例規制種の違法な持ち出しを水際で食い止めるための連携と協力を呼び掛けた。

 奄美関係の企業・団体で構成する世界自然遺産推進共同体と環境省の共催。講師は同省沖縄奄美群島国立公園管理事務所の後藤雅文離島希少種保全専門官、田口知宏国立公園管理官の二人が担当した。このような研修は2019年7月に続いて2回目となる。

 奄美空港では、19年4月に奄美大島で希少種のカエルなど28匹を無断で捕獲した東京都内のペットショップ店長らが、種の保存法違反等の疑いで逮捕されるなどの事件が起きている。植物の盗掘も多いという。これらの事例とともに捕獲等規制関連法令を紹介し、「種の判別」と「とった場所」が重要だと解説した。

 違法捕獲されやすい動物として、クワガタやカミキリムシ、カエル、イモリ、ヤモリ、オカヤドカリなどを紹介。昆虫や両生類、は虫類はマニアが多く高額で取引されることが多いため、違法捕獲のリスクが高いという。「持ち出しの際に怪しいものがあればすぐに事務所に連絡してほしい」と呼び掛けた。

 不審事案発生時の連絡・連携体制についても共有。見分けやすい写真の撮り方などの説明もあった。

 会場からは標本に関する質問や、種の判別が難しいため「たまには専門家が空港に駐在してほしい」という要望、オンラインですぐに相談できるしくみ等より迅速な連携の提案があった。

 参加していた日本航空旅客スタッフの久保靖子さん(35)は「奄美に住んでいるのに希少種のことを知らないことに気づいた。勉強していかなければ。違和感を持つことがまずは大事だと思う」。 同共同体事務局の栄正行さん(59)(日本航空鹿児島支店奄美営業所所長)は「連携して、奄美の自然をみんなで守っていこうという機運の醸成をしていきたい」と話した。

 後藤専門官は「空港だけでなく、フェリーや宅配業社、郵便局などとも連携し、密猟・密輸防止対策を強化していきたい。ルールを守って奄美の自然を楽しんでほしい」と語った。

 奄美空港および徳之島空港で22日から、航空各社がそれぞれ自社運航便の旅客に対し、希少野生生物の持ち出し禁止の注意喚起アナウンスを開始する。